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幻想郷にゆっくりたちが現れて早数年。 そんなゆっくりに対して、人は愛でたり、駆除したり、いじめたりと十人十色な対応をした。 私はというと正直生活に関わってくることも無かったし特にかわいいとも思わなかったので 別にどうでもいいという態度を取っていた。 ただ、夜空の星を眺めているようなゆっくりとなると話は違った。 星好きの私は、夜、平原で星を眺めていたゆっくりの隣に座って尋ねた。 「何をしているんだい?」 「ゆ?おそらのおほしさまをゆっくりみてるよ!」 そのゆっくりは笑顔を浮かべて私の質問に答えた。 「星、好きなのか?」 「ゆ~!まりさはおほしさまだいすきだよ! おにいさんも?」 「ああ」 星のことを尋ねられてゆっくりはぷよんぷよんと跳ねた。 私はそれを見ながら軽くうなずく。 余り周りに星好きの仲間が居ない私はそのゆっくりに興味を覚え、色々と教えてやろうと思い立った。 「星座って知ってるか?」 「ゆ~しってるよ!みせてあげるね! ……………… まりさのあしじゃできないよぉ…」 ゆっくりはしゅんっとして俯いた。 その正座じゃない。 「そういうのじゃなくてだな、星と星を繋げると動物なんかの形に見えるんだ」 「ゆ!?ほんとに!?」 「ほんとほんと、例えばあの星と星をつなげるとだな…」 俺は指差して星座を示した。 「こーなってそーなって…と、あれがやぎ座」 「ゆ~~ぜんぜんやぎさんにみえないよぉ~~」 ゆっくりはぷく~っと頬を膨らませて不満を言った。 「でもおもしろいよ!ゆっくりしてる!」 が、それなりに気に入ったようだ。 「あっちが射手座でそっちだな…」 「ゆ~!すごいすごい!」 ゆっくりは目を輝かせて私の話を聞きながら星を眺めた。 「やぎさん!おそらでずっとゆっくりしていってね! まりさもふゆごしがおわったらまたあいにくるよ!」 「いや、冬越えたら見えなくなるんだけどね 一年中見えてる星座ってそんなにないから」 「ゆぅ!?」 俺の何気ない一言にゆっくりは口を大きく開き、愕然とした表情を見せた。 一体何事かと俺が話しかけようとすると、突然ゆっくりは泣き叫んだ。 「どおぢでゆ゛っぐり゛ぢでいっでぐでないのおおおおおお!? やぎざんどばがああああああああああああああああ!!」 「いや、だって秋の星座だしあれ」 私は額から汗を垂らして困ったように頭をかいた。 「ゆぅぅぅううう!ゆっくりしてないやぎさんはしね!!」 ゆっくりは憎しみを込めた顔で天を仰いで唾吐いた。 さっきとは打って変わって酷い言い草である。 「そうは言うけどさ、そんなこと言ったらこの星だってゆっくりしてないことになるぞ」 「ゆぶぇ?!ど、どういうこと!?」 ゆっくりはガタガタと震えながら不安そうな顔でこちらに向き直った。 「いやそんなに怯えなくてもいいから」 私は手でゆっくりの頭を撫でて落ち着かせた。 「ゆぅ~、ゆっくりせつめいしてね!」 「わかった、この地面も実はあの空の星みたいに空に浮いてる球体なんだけどさ わかるか?」 「ゆっくりりかいしたよ!」 ゆっくりは顎を膨らまして自慢げに言った。 「そうか、理解が早くて有難い で、その地面は実はすごいスピードで太陽の周りをぐるぐる廻っているんだ」 「ゆうううううううううう!?どお゛い゛う゛ごどおお!?」 「こういう風にさ、お前を太陽に見立てると…」 私は指をぐるぐると回しながらゆっくりの周りをぐるりと一周させた。 「とまあこういう風に動いてるわけだ」 「ゆ…ゆ…い、いいいいいつゆっくりするの!?いつゆっくりするの!?」 「いや、ずーっと動きっぱなしだからゆっくりすることはないな で、そういう風に地面が動くから星が動いているように見えたり 星座が時期によって見えたり見えなかったりするだけで別に星座がゆっくりしてないということは」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 そこまで言って、ゆっくりの悲鳴が私の話をばっさりとさえぎった。 「お、おいどうした?」 私は慌ててゆっくりに話しかけたがもはやそれどころではないらしく ゆっくりは白目をむいてガタガタと震えながら絶望の表情を見せていた。 「ごごじゃゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 そう叫ぶと、ゆっくりは凄まじいスピードでゴロゴロとどこかへと転がっていった。 「おーい!星は丸いからどこまで転がっていっても同じ星の上だぞー!!」 「ゆ゛っぐり゛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?!!?!?!?!?」 そう言うとゆっくりはさらにスピードを上げてどこへともなく消えていった。 「いらんこと言ったかなぁ…」 私はせっかくの星好きの仲間があんなことになってしまって残念だなぁ嘆きつつ頭をかいた。 それから数日後 どこかの平原で 「ここじゃゆっくりできない!ここじゃゆっくりできないよおおおおお!!」 と叫びながら空にむかって必死にジャンプし続けるゆっくりまりさが目撃されたとか。 このSSに感想を付ける
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このSSは「ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ!」の設定を 勝手に流用して書いたものです。 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2112.html ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 「養殖ゆっくり」 ゆっくりが幻想郷に現れるようになって、はや数年が経った。 ゆっくりが現れた当初から、ゆっくりによる民家襲撃や農作物窃盗が相次ぎ、 人間とゆっくりの間では争いが絶えなかった。 人間は、まず人里に近づいたゆっくりを見つけ次第叩き潰すことでゆっくりによる害を減らそうとした。 しかし、ゆっくりはすぐに増えるため、あまり効果がなかった。 潰しても、数日もすると別のゆっくりが人里への侵入を試みた。 そこで、ゆっくりの巣を探し出し、片っ端から一家を全滅させることで増えないようにしようとした。 ゆっくりの一家や番は、例えるならゆっくり製造機みたいなものである。 こいつらを一家まるごと殺してしまえば、ゆっくりの増えるペースは減ると考えられたからだ。 このやり方では、たしかに一定の効果があったが、それにも限界があった。 ゆっくりは、すぐに増えてしまうからだった。 ゆっくりは一回の生殖で、植物型妊娠・動物型妊娠問わず、最低でも3匹から5匹は子供を作る。 この時点で、すでにゆっくりは確実に増加する傾向にあることが分かるだろう。 さらに、ゆっくりは、その生活形態も様々だ。 個別に独立して暮らすものもいれば、群れを作って共同生活するものもいる。 群れの場合、一度潰せばゆっくりの害は大幅に減るが、ドスがいるような群れはやっかいだった。 逆に、独立して生活している家族や番の場合、散らばって生活しているので個々の一家は潰しやすいが、その分効果が薄く、巣を探すの手間取った。 加えて、人里から一定以上離れた場所にいるゆっくり達には殆ど手を出せなかった。 離れた場所に住むゆっくりを殺す為だけに里の外で夜を明かすのは危険だし、何より自分の畑から何日も離れるわけにはいかなかったからだ。 農耕で生活している以上、里に住む人々の大半は、畑仕事に一番時間を割かねばならなかった。 こうしてゆっくり対策に行き詰まりを感じ始めた里に人たちは、ゆっくりに詳しい者達に力を借りることを決めた。 依頼を受けたゆっくりの加工場の職員や研究者達は、効率的にゆっくりを駆除する方法を考え始めたのだった。 問題点は、以下の2つに絞られた。 ・どうやって人里から離れた場所(森の奥)にいるゆっくり達も駆除するか? (人里周辺のゆっくりだけを駆除しても、他所から他のゆっくりがやってきてしまう) ・どうやって数が多いゆっくりを一度に駆除するのか? (ちまちま殺していたら、繁殖力の高いゆっくりの数は減らない) そこで加工場の関係者達は、人工的に養殖させた「非常識なゆっくり」を大量に自然界に放流する方法を思いついた。 勿論、こんなことを春や夏や秋にやれば大変なことになるが、餌が殆ど無い冬直前にやったどうなるだろうか。 こんな計画が持ち上がったのも、研究者達の観察や実験結果により次のようなことが分かってきたからだ。 実は、ゆっくりの最大の天敵は、小動物でも人間でも妖怪でもなく、ゆっくり自身だったのだ。 たしかに、小動物・人間・妖怪はゆっくりにとって脅威となる存在だ。 本気で狙われたら、まず間違いなく殺される(or 喰われる)。 だがそれは、あくまで「狙われたら」という話であり、そんなことはあまり起こらない。 起きたとしても、ゆっくりの数を大幅に減らすほどの影響はない。 ゆっくりと生活圏がかぶっている小動物は、必ずしもゆっくりを襲うわけではない。 草食系の小動物は、まずゆっくりには手を出すことはないし、肉食系の小動物も、基本的には他の動物を狙うので、ゆっくりがターゲットになることはあまりない。 そして、人間は自分達の生活圏の外にいるゆっくりには手出しできない。 妖怪達は、食料としてゆっくりを食すことは珍しくないが、それでもゆっくりの数に殆ど影響を与えていない。 だが、他のゆっくりは違う。 生活スタイル(食べ物・居住環境・生活圏)が同じであるが故に、仲間同士であると同時に生活の糧を奪い合うライバル同士でもあるのだ。 加えて、ゆっくりという生物(食べ物か?)は基本的に自己中心的で頭が悪く、イザコザが耐えない。さらに、ゆっくりの中には「ゲス」と呼ばれる、 ゆっくりを襲うことで生活しているものや、「レイパー」と呼ばれる強姦魔もいるという。 こうした研究結果を踏まえて、ゆっくりにはゆっくりで対処する方が良いと考えられ、今回のゆっくりを養殖する実験計画が立てられたのである。 ちなみに、この方法がダメなら別の手を考える予定である。 この計画の最大の目的は、春になるまでに出来るだけ野生のゆっくりの数を減らすことだった。 とにかく、出来る限り個体数を減らし、農家にかかる負担を軽くしなければならない。 今回、ゆっくりを養殖させるにあたって、雑草や昆虫が大量に集められた。 野生にない食材を与えると、野生のゆっくりが採った餌を受け付けなくなるからだ。 それでは養殖されたゆっくりが、野生のゆっくりの餌を略奪してくれない。 さらに、養殖されたゆっくり達を「教育」する動画も製作された。 野生のゆっくり達に受け継がれている生き抜く方法とは真逆の教育を施す為だ。 他の関係者から、「もし非常識なゆっくりが越冬に成功したらどうなるのか?」という問題点も指摘された。 だが、計画を立案した研究者は自信を持って次のように答えた。 養殖場で生まれ育ったゆっくりは、自然界ではまず生き残れない。 冬以外の季節なら、自力で餌を採る方法を覚えたり、他のゆっくりと暮らし始めて生き残れるかもしれない。 仮に野生のゆっくりと暮らし始めても、自力で餌を採る大変さを理解していないから、すぐに仲違いするだろうが。 しかし、真冬ならどうだろうか。まず餌は手に入らない。人里は我々が完全に守っているから、進入することも出来ない。 おまけに、食料を食べたいだけ食べることが良いことだと教育するので、野生のゆっくりの巣を見つけ出して略奪を行っても食料はすぐに尽きるし、 最終的には共食いしつつ餓死することになる。だから、養殖ゆっくりは春までには全滅するはずだと答えた。 ゆっくりによる被害を受けていた里は、今回の実験を初めて聞いたときは随分驚いていたが、 一切お金を取らないことや、家屋に万全のゆっくり対策を施すことで了承してもらった。 ゆっくりを養殖する施設は、群れから少し離れた開けた場所につくられた。 また、養殖していることを野生のゆっくりに悟られないようにする為、 養殖場の周りを、植物で偽装した高い壁でグルリと囲んだ。そして、鍵を持った職員しか入れないようになっている。 ここで養殖して一斉に放すことになる。 本来は加工上で育てる予定だったが、ゆっくりの群れが住んでいる場所の近辺まで、大量の成長しきった養殖ゆっくりを運ぶ方法が見つからなかったので変更された。 我々は、加工所の中で育てられているゆっくり達に強制的に子供を作らせた。 そして、植物方妊娠をしている親を眠らせ、その子供を採取して隔離した。 こうすることで、他のゆっくりから教育を受けていない、何の記憶も技術も持たない赤ゆっくり(れいむ種とまりさ種)が手に入った。 全部で10匹だ。 採取した赤ゆっくり達を眠らせた状態で養殖場の中に放置した。 養殖場の中は、まだガラ~ンとしている。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりを、500匹近く収容できるように作ってあるので、仕方が無いといえば仕方が無い。 とにかく、冬直前までに相当数のゆっくりを育て上げなければならない。 ゆっくりの教育は、毎日決まった時間に映像を流す形で行われた。 朝7時になると明かりがつき、モニターに電源が入り、スピーカーから挨拶が聞こえてきた。 「やあみんな、おはよう!ゆっくりしていってね!!!」」 それを聞いた10匹のゆっくり達は一斉に、 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 と、返事を返した。 「さあみんな、ごはんだよ!ゆっくりたべていってね!!!」 そうアナウンスされると、天井に付けられた機械が、天井を所狭しと動き回りながら餌を養殖場全体にバラバラと落とした。 いずれは、養殖場いっぱいにゆっくりがひしめき合うのだから、広範囲に餌を撒かないと、餌にありつけないゆっくりが出てきてしまうからだ。 献立は毎回一緒で、甘味料と冷凍雑草と冷凍昆虫を混ぜ合わせたものだった。 基本的に、自然界で容易に手に入る、草と虫以外のものを食べさせることは許されてはいなかった。 「ゆっ!おさらさん、ゆっくりれいむのところにえさを落としてね!」「すごくゆっくりできるえささんだね」「うんめ、めっちゃうんめ!」 「くささん、むしさん、ゆっくりたべられてね!」「きかいさん、ありがとうね!」 「「「「「「むーちゃ、むーちゃ、しあわせ~!!!!」」」」」 養殖場の様々な場所に、栄養素を溶け込ませた水を出す蛇口を取り付けてあるので、 食事を終えたゆっくり達は、思う存分水分を取っていく。 「「「「「「が~ぶ、が~ぶ、しあわせ~!!!!」」」」」」 食事が終わると、今度はお勉強の時間だ。 といっても、研究所と加工場が製作した教育映像を繰り返し流し続けるだけだったが。 『腹が減ったら、他のゆっくりの巣に勝手に入って食べればいい。他のゆっくりに餌を分けない奴はゆっくり出来ない奴だ。』 「ゆっ!すってなあに!」「でもゆっくりできそうなばしょだね!」「れいむもあんなばしょがほしいよ!」 「まりさにたべものをくれないなんて、ゆっくりできないね!ぷんぷん!」 『初めて会ったゆっくりをすっきりさせてあげるのはゆっくりできること。すぐにすっきりさせてあげよう。』 「すっきりってなあに?」「なんだかすごくゆっくりできそうだよ!」 『パチュリーはずる賢い悪いゆっくりだ。ゆっくりできないから、見つけたらすぐ潰そう。』 悪そうな顔をしたパチュリーを踏み潰すイラストを流した。 「ゆっ!ゆっくりできそうにないかおだね!」「あんなのみつけたら、まりさがぎったんぎったんにしてやるんだぜ!」 『ドスは、ゆっくりしすぎで太ってる。減らしてあげれば喜ぶから、すぐに喰いつこう。』 でっぷりした大きなゆっくりを噛みちぎるイラストを流した。喰いちぎられたゆっくりはニコニコしている。 「どすはゆっくりしすぎだよ。」「だいえっとをてつだってあげなきゃね!」 『れみりゃやふらんは敵。見つけたら全力で襲い掛かろう。弱いくせに偉そうにしている。ゆっくり出来ていない。』 「へんなかおだね!」「ぜんぜんつよくなさそうだね!あんなのかんたんにつぶせるよ!」 ゆっくりを捕食する捕食種「れみりゃ」と「ふらん」。 実は、単純に力という点だけを見れば、こうした捕食種は他のゆっくりより圧倒的に上回っているわけではない。 耐久力にしても、捕食種は中華まんだ。饅頭と対して耐久力に違いはない。 基本的に、ゆっくりが捕食種に勝てない理由には、手足の有無や体格差以外にも「絶対に勝てない」という思い込みもある。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりが、複数で物怖じせずに胴付き捕食種と全力で闘えば、勝算があることは加工所の実験で証明済みだ。 捕食種というのは、頭部だけの状態なら圧倒的に飛行スピードがあるの、まず他のゆっくりに負けることは無い。 しかし、胴体付きに進化すると、手足が使える反面、スピードという利点が無くなってしまううえに、動きが鈍臭くなる。 加えて、まさか他のゆっくりが襲ってくるとは思わないだろうから、隙だらけになる。 ちなみに、フランが捕食種の中でも最強なのは、「狂気」が最大の理由として考えられている。 体格や筋力が同じでも、イカれた人間と普通の人間が喧嘩をすれば、なかなか普通の人間は勝てないのと同じ理屈だ。 養殖場のゆっくり達には、複数のゆっくりがれみりゃに体当たりして容易に転ばせたうえ、踏み潰すという映像を見せた。 映像の中では、れみりゃを殺したゆっくり達が、「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!」とれみりゃを食べていた。 他にも、 『ゆっくりの巣は、木の根元や洞窟にあるぞ!』 『草や石が固まっているところが怪しいぞ!』 といった、野生のゆっくりの巣の探し方も教えた。 とにかく、こうした身勝手な行動こそが「ゆっくりできること」だと徹底的に教え込んだ。 まあ、こういうことが本来の「ゆっくりできること」なのかもしれない。野生のゆっくりは、厳しい自然環境の中で随分妥協しているけれど。 月日が経つにつれ、次第に養殖場のゆっくりの数は増えていった。 どんなに「すっきりー!」をしても。餌はすぐに降ってくるし、いつでも栄養素が溶け込んだ水を飲めたので、 ゆっくり達は思う存分子作りが出来たのである。 最初は恥ずかしがっていたゆっくり達も、養殖場の中にプライバシーなんぞ無いことを理解すると、 どこでも、子供の前でも、平気で「すっきりー!」するようになっていった。 村では、作物の収穫やゆっくり対策がほぼ終わっていた。 我々が行ったのは、強化ガラスとの交換に始まり、建物の補修、河童の少女と協力して開発したゆっくり撃退装置の設置などの各種ゆっくり対策グッズの設置だ。 ゆっくりの群れの方でも、ほとんどの家庭で餌の貯蔵が終わっていた。後は、本格的に冬が始まったら巣を塞ぐことぐらいだ。 さて、後はこいつらを放すだけか。 俺は、養殖場内のゆっくり達を睡眠ガスで眠らせると、 外に運び出した。 「よいしょっ!・・・と。結構いますね。どれぐらい増やしたんですか?」 「大体600匹ぐらいだな。まだ実験だし、そんなもんさ。けど、もうちょっと増えたらやばかったな。500匹ぐらいを想定してたから、 これ以上増えると、養殖場が維持できなくなっちまう。そうなると、俺達の仕事に『養殖ゆっくりの間引き』なんていう面倒くさい仕事が出来ちまう。」 「じゃあ、よかったすね。」 職員達はコンテナに詰められた養殖ゆっくり達を外に運び出すと、養殖場の撤去作業も開始した。 とても「ゆっくりした」ゆっくり達が一斉に開放された・・・ 群れから少し外れた場所で、一匹のゆっくりれいむが移動していた。 もうすぐ巣穴を塞ぐのだ。来年まで外に出ることは出来ない。 だから、冬篭りの前までに少しでも外の様子を見ておきたかった。 そんな時、れいむは一匹のまりさから声をかけられた。 「ゆっ!れいむ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!まりさ!ゆっくりしていってね!」 養殖場でゆっくり育てられた養殖ゆっくりは、野生ゆっくりから見て美人に見えるらしい。 すっかり気をよくしたれいむをよそに、まりさの後ろからぞろぞろと養殖ゆっくりが現れる。 「ゆぅ、なんだかさむいよ。はやくゆっくりできるところをさがそうね」 「ぽんぽんさんがすいてきたのぜ。むーしゃむーしゃしたいのぜ。」 ・ ・ ・ れいむの表情は凍りついていた。 こうして養殖ゆっくり達は次々に野生のゆっくりの群れの中心に入り込んでいった。 群れに住む野生のゆっくりたちは何事かと巣から飛び出した。 この時期に大量のゆっくりがやってくるということは、どう考えても食料や住処の略奪としか考えられなかったからだ。 だが、略奪目的にしては、やってきたゆっくりたちの顔色や肌ツヤは非常に良かった。 また、随分友好的でゆっくりとしたな態度をとっていた。 群れのゆっくりたちは次第に、 「これはもしかしたら、別の目的で群れにやってきたのかも」 とか、 「きっと冬篭り前の挨拶に来たのではないか」 と噂を始めた。ドスの元にも報告が行っていた。 そして、徐々に歓迎ムードになっていた。 だが、それから数分後、ある養殖ゆっくりの一言で状況は一変した。 「ゆっ。れいむおなかすいたよ。たべものちょうだいね。」 それを皮切りに、他のゆっくりからも食料を求める声が徐々に上がり始めた。 群れのゆっくり達は驚いた。そして、 「自分達には、あなたがたに分け与えられるような余分な食料はないこと」 と伝えたり、 「そんなに血色が良いのに、あなたたちはどうしてたべものをもっていないのか」 と質問をした。 だが、養殖ゆっくり達には、野生ゆっくりの言うことが理解できなかった。 「食べ物をくれるのはあたりまえ」「季節なんて存在しない」という環境の中で育てられた為、 「どうして食べ物をくれないのか?」「冬篭り?何それ?美味しいの?」という有様だった。 10分も経つと、群れで大騒ぎになっていた。 群れの規模は100匹前後。 しかし、やってきた養殖ゆっくりの数は100匹を優に超えていた。 群れのゆっくりは必死で養殖ゆっくりを押しとどめようとした。 ある養殖れいむが言う。 「おなかがすいたよ。たべものをゆっくりちょうだいね」 さらに養殖まりさが言う。 「たべものをださないなんてゆっくりできないね。」 「かってにもらっていくよ。」 「どいてね!はいれないよ!」 番の野生まりさと野生ありすは家の前で必死に応戦する。 「ゆ~~~!やめてね。勝手にまりさのおうちに入らないでね!でていいってね!」 「それは冬を越すのに必要な食料よ!いまたべるなんてとかいはじゃないわ!このいなかもの」 いくら押しとどめようとしたり、突き飛ばしても、次々と巣に近づく養殖ゆっくりの数にはかなわなかった。 勝手に貯蔵庫の食料に手を付ける養殖ゆっくり達。 「むーしゃむーしゃ・・・う”っべべぇ”ぇ”ぇ”ぇ”! まずっ!げろまずっ!ぺっ!ぺっ!!」 生まれて初めて甘味料のない食料を口にした野生ゆっくり達は吐き出した。 「こんなのたべものじゃないよ!あまあまじゃないよ!ほんとのたべものをかくさないでさっさとだしてね!」 甘い食料など持っていないし食べたことのない野生ゆっくり達は、自慢の保存食料をゴミのように扱われ、ショックを受けた。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお?」 群れで一番頭のいいパチュリー種の住む巣にも養殖ゆっくり達は押し寄せた。 「ゆっ!パチュリーがいるよ!ゆっくりしんでいってね!!」「ゆっくりできないゆっくりはしんでね!」 「むぎゅう”う”!わたしがなにをしたっていうのよおあああ!」 こうして、ゆっくりが自然界で生き抜く方法を知っている重要なぱちゅりー種は息絶えた。 ドスのいる洞穴にも養殖ゆっくりが入り込んだ。 養殖ゆっくりたちは、笑顔で挨拶する。 「ドスがいるよ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」 ドスは最初は驚くが、笑顔で挨拶を返した。 「みんな、ゆっくりしていってね!!!」 外で起きていることはまだ報告が入っていないらしい。 ぞろぞろとやってくる養殖ゆっくり達の中のある一匹が突然どすに食らいついた。 がぶ・・・ 「むーしゃむーしゃ それなりーー!」 分厚い小麦粉皮を喰いちぎって頬張る養殖ゆっくり。 一瞬何が起こったのか分からないどすの代わりに、どすの付き人をしている野生ゆっくりが叫んだ。 「どぼぢでどすのおがおだべるのおおおおお!!!どずはゆっっぐりしてるんだよおおお?ばがなの?じぬの??」 その言葉で我に返ったドスは体を壁にぶつけてそいつを潰し殺した。 「馬鹿なゆっくりはさっさと死んでいってね!」 「どぼぢでよろごんでぐれないのおおおお?ダイエッドにきょーりょくしてるでしょおお!」 理不尽な攻撃を受けていると感じた養殖ゆっくり達は、怒りに燃えてドスに攻撃した。 どすは洞窟の中で暴れようとしたが、広さも高さも足りず、ただただ噛み付き攻撃や這いずり攻撃を繰り返した。 しかし、真正面からドスの口に飛び込むものはおらず、養殖ゆっくり達は全方位から喰らいついた。 ドスは徐々にスタミナを消耗し、まるで蟻に集られる饅頭のように体の体積を減らしていった。 「もっどゆっぐりしたかったよ・・・」 こうして、群一つを潰した養殖ゆっくりによる傍若無人な振る舞いと理不尽な暴力は森の各地に住む野生ゆっくり達に広がっていった。 例えば、とある群れに属さないゆっくり一家は、苛烈な尋問の果てに皆殺しにされた。 養殖ゆっくりの集団が、けっかいで偽装された巣を見つけ、中にいた一家を強引に外に叩きだしたのである。 一家があまあまな食べ物を隠し持っているに違いないと疑ったそのグループは、執拗に尋問を行い始めた。 「あまあまさんなんてしらないよ。ゆっくりかえっていってね!」 「うそをつくななのぜ!すのなかにかくしてるのはわかってるのぜ!!!」 集団は「こーでぃねいと」された巣の中を荒らし回った。 教育であまあまの存在を信じこまされていた養殖ゆっくりの集団は、貯蔵庫の食料を掻き出し、枯葉のカーペットをひっくり返し、一夏の「おもいでのしな」をバラ撒きながら「あまあま」を探し続けた。 しかし、いくら探せどそんなものはない。 最終的に痺れを切らした集団は、一家を踏みつけ突き飛ばし餡庫のシミに変えた。 また、ある子なしの番は強引に集団でスッキリーをさせられ、茎だらけになって永遠にゆっくりした。 勿論、巣の中を滅茶苦茶に荒らされるおまけつきで。 こうして野生のゆっくり達が餡庫に変えられていくなか、空腹に耐え切れず潰れた野生ゆっくりの餡庫を貪るものも出始めた。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 極度の空腹に襲われていた養殖ゆっくり達は、同族の餡庫を貪ることにも抵抗を示さなくなっていた。 「野生のゆっくり達は、餡庫ではないあまあまを体の中に隠し持っていた」と強引に思い込み、「共喰いをしている訳ではない」と自分達を納得させたのである。 甘い食料に舌が慣れきった養殖ゆっくりは、日が経つに連れて各地の巣を血眼になって探し続けた。 執念深く巣を見つけては、中にいた種族を問わずゆっくりを引きずり出し尋問し、巣を荒らして餡庫を貪った。 とはいえ、野生ゆっくりの数が減るに連れて徐々に巣の発見率も下がり、最後の手段である同族の餡庫すら手に入りにくくなっていった。 すると、捕食種も襲撃の対象になりはじめ、洞窟に巣を作っていたれみりゃの一家も巣も襲撃を受けた。 「おぜうさまにゆっくりたべられていくんだど~♪」 養殖ゆっくり達に無防備に近づいて手を伸ばそうとしたれみりゃは、後ろから脚にタックルを喰らい、転倒した。 「おお、おそいおそい」 「おお、よわいよわい」 集団で飛び乗り喰いちぎり貪っていく。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 「ざぐや”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!」 「ま”んま”ま”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”」 れみりゃの子供たちも母親と同じ運命を辿った。 その後、養殖ゆっくりによる巣の襲撃は続いたが、滅多に巣を見つけられなくなった。 巣を襲撃できない養殖ゆっくり達も次第に個体数を減らしていった。 養殖ゆっくり同士で共喰いを始めるものも現れた。 すっきりーをして子供を持ったものもいたが、動きが鈍くなるため共食の対象にされた。 対象にされなくとも、これから冬を迎える季節で育てられる可能性は不可能だろう。 それに間違った知識を教えこまれているため、子供への教育もできないので子孫を残せない。 1代限りの存在を許された養殖ゆっくり達は、共食と餓死を繰り返し、 雪が積もり始める頃には姿を消したのだった。 冬も終わり春がやってきた。 月日が経ってもゆっくりによる被害は報告されず、ゆ害は皆無になっていた。 この試み因る効果は数年続くことも分かり、安い初期投資で高い効果が得られることから他の地域でも導入されることになった。 こうして、毎年冬が近づくと野生のゆっくりと養殖のゆっくりによる殺し合いが森の各地で行われることになったのである。 -完- ------------------------------------------------------------- かれこれ何年ぶりの投稿でしょうか。 何年か前に途中まで書いた作品を、今日終わりまで書き足して投稿しました。 witten by 御湯栗 過去の作品 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4035.html#id_dd2fb33a
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ゆっくりの躾け方・上巻 はじめに ゆっくりを躾けるのは非常に難しい。 何故なら異常なまでに知能が低く、教えた事を三分で忘れるからだ。 比較的簡単なのはれいむ種だろうか。 知能レベルは最低に近いが、それでも根が素直なところがある。 生まれた時から愛情を注ぎ込むか、恐怖と暴力を与えればそれで済む事が多い。 逆にまりさ種は非常に難しい。 愛情を与えても、飼い主は自分を保護するためのものとしか見ず、横暴な態度は何時までも残る。 暴力で従わせようとしても、従った振りをして虎視眈々と脱走や報復の機会を窺う様になる。 また、その強い好奇心とリーダー気質から周囲の飼いゆっくりを巻き込んで悪さをする事も報告されているので手に負えない。 ブリーダーの間ではまりさを調教できたら一人前と言われているほどだ。 では、ゆっくりれみりあはどうなのだろうか。 難易度は中といったところ。頭は悪いが、他の種と違って悪知恵が働かないのはプラス要因。 毎日躾を欠かさなければ、それなりのレベルにまでは簡単に持っていける。 もっとも躾を怠れば他のゆっくり以上の早さで増長し、知能の劣化もそれに比例する。 そしてそれ以上に、ある一定以上の能力を求めるのには難しい。 何故なら持ち前の知能の低さが邪魔をし、高度な事を教え込めないからだ。 れみりあ種に高度な事を覚えこませるには、それこそ達人と呼ばれるほどの腕前を必要とする。 さて、前書きはこのくらいにしておいて、早速行動に移ってみよう。 前述の通り、初心者にはれいむ種から手を付ける事をおすすめする。 まずは固体の選別。 初心者は知能強化を施された赤ん坊を買うのをおすすめするが、野生の個体を選ぶとなるとそれなりのコツがいる。 「ゆっくりしていってね!」 初対面で上記の様な事を言ってくる固体は間違いなく知能が低い。 人間の恐怖を知らない野生の個体は、学習能力が著しく低い事を示す。 少しでも知能があれば、自分より大きい生物に対して警戒するのが当然だろう。 ついでに言えば他のゆっくりと情報交換ができていない証拠でもある。 なので上記の様なゆっくりを見つけたら優しくハンマーで潰してあげよう。 知能の低い野良ゆっくりを残しておくと、後々誰かが被害にあうかもしれない。 外出時には専用のゆっくり潰しハンマー(税込:535円)を持ち歩くのがエチケットだ。 次に選別の合格基準だが、これは方針によって異なる。 愛を与えるのなら家族がいる固体は止めた方がいい。人間よりも同族に対しての感情が強いからだ。 群れからはぐれた固体や、家族から追い出された固体なのが御し易いだろう。 そしてできれば赤ん坊がいい。成長後にその性格を矯正し、知識を与える事は難しい。 恐怖を与えて従わせるのならその逆。 家族はいい脅迫の材料になるし、見せしめにも使える。 これもやはり赤ん坊が良いし、何より長い間楽しめる。 と、言っても変異種でもない限り個体差はそこまで大きくない。 面倒だと思ったり、自分の腕に自信があったりするのならどんな固体でもいいだろう。 「……なるほどな」 お兄さんは読んでいた本を脇へと置き、透明な箱に入ったゆっくりれいむを眺める。 家の前で倒れていたのを保護し、飼ってもいいかなと考えていたところだ。 「こいつ飼えるのか? 本見た限りでは結構難しそうなんだが」 箱の中のれいむはお兄さんの考えも知らず、暢気に眠っている。 散々お兄さんに餌を要求し、満腹になったら直ぐに眠ってしまったのだ。 まあ、非常にゆっくりらしい性格をした固体だと言えるだろう。 と、その時れいむが目を覚ました。 しばらく辺りをキョロキョロとしていたが、やがて自分が知らない場所で透明の箱に入れられている事に気付く。 「おにいさん、れいむへんなはこのなかにはいってるよ! ゆっくりだしてね!」 お兄さんが声を掛ける前に、れいむは箱から出せと要求してくる。 が、そうはいかない。ゆっくりを部屋の中で放し飼いする気はお兄さんにはない。 あくまで観察したり、偶に遊んでやる程度の存在でいいのだ。 「おにいさんれいむのこえがきこえてないの? それともばかなの? れいむのいうことがりかいできないの?」 その声にお兄さんの眉が傾く。 助けてやった上に餌もやったのだが、それを忘れていきなりこれか。 お兄さんは騒ぐれいむを無視し、先ほどの本の続きに目を通す。 では実際に躾を行っていこう。 まず全体を通して注意すべき事は、ゆっくりより自分の方が上だと理解させる事だ。 これは愛情を与える場合にも必須だ。これがないと、ゆっくりは飼い主の事を便利な道具程度にしか思わない。 大事なのは懐いてないうちはゆっくりの要求を絶対に聞き入れない事。 餌が欲しい、遊んで欲しい、外に出して欲しい、などと言った要求は全て却下。 何故なら簡単に要求を呑むと、ゆっくりは飼い主を自分より下だと思い込む。 それに、飼い始めたばっかりのゆっくりを箱の外に出すのは危険だ。 何故なら十中八九部屋の中を荒らしまわるか、自分の家宣言をし始めるからだ。 調子に乗ったゆっくりを一気にどん底まで叩き落し、短期間で服従する方法もあるが初心者にはおすすめできない。 上記の様に書いたが、餌はやらないと流石に不味い。 ゆっくりは多少の絶食では死にはしないが、固体によっては絶望や思い込みで死に至るので長期間の絶食はおすすめはできない。 さて、餌のやり方だが、まずは自分の食事をゆっくりに見せながら食べる。 そして自分の食事が終わった後、食べかすや野菜クズをゆっくりに与えよう。 その際、いただきますとキチンと言わせよう。言わない様なら軽めの罰を与えていい。 そうする事によって、飼い主の方が上であるとゆっくりに教えるのだ。 間違ってもゆっくりの食事を優先したり、ゆっくりに手作りで餌を作ったりするのはしてはいけない。 そうする事によってゆっくりは増長するうえに、ゆっくりは自分に都合の良い事は中々忘れない。 少しでも餌のランクを落せば癇癪を起こし、飼い主の食事まで要求してくる事も多々ある。 大事なこの作業を根気良く続け、ゆっくりに自分の立場を理解させる事が…… 「……いかん、めんどくさそうだな」 お兄さんは本に栞を挟んで閉じ、溜息を吐いた。れいむは読書中も煩く喚きたてていたが、当然無視。 お兄さんの認識よりも遥かに、ゆっくりを飼うのは面倒そうなのだ。 もっとも生き物を飼うのは大抵面倒なのだが、生き物を飼った事のないお兄さんには分からない。 「む゙じぢない゙でえ゙ぇぇぇ」 「……まあ、やるだけやってみるか。懐けば可愛いだろうし」 それに犬や猫よりかは手間も掛からないだろうし、話し相手にもなるだろう。 そうお兄さんが考えていると、ふと周囲が暗くなっている事に気付く。 そろそろ夕食の時間か。そう思ったら腹が減ってきたので、お兄さんはれいむを無視して台所へと移動する。 「ほーら、メシだぞお」 「ゆゆっ! おにいさんれいむのためにありがとう! ゆっくりれいむにちょうだいね!」 お兄さんは焼き魚と味噌汁、そして白米をれいむの前に置いて見せ付ける。 そして透明な箱と取り去り、れいむを解放してやった。 そうすると当然れいむは飯へと急ぐが、たどりつく寸前にお兄さんの手が伸びる。 軽いデコピンによってれいむは弾き飛ばされ、勢い良くタンスにぶつかった。 そして素早く透明な箱を被せ、お兄さんは箸に手を伸ばす。 「どうじでごんなごとずるのおぉぉぉ」 「誰がお前の飯だっと言った。これは俺の飯だ」 「ゆ? おにいさんなにいってるの? それはれいむのごはんだよ?」 泣きながら喚くれいむを他所に、お兄さんは白米を掻きみ、酒で咽を潤す。やはり労働の後の一杯は美味い。 頭に疑問符を浮かべているれいむの戯言など、耳に入らぬほどだ。 「ゆゆっ! おにいさんれいむのごはんかってにたべないで! れいむはどろぼうきらいだよ!」 「だから何時お前の飯になったんだ。これは俺が用意したんだぞ」 「そんなのかんけいないよ! れいむがみつけたんだかられいむのごはんだよ!」 いかん、埒があかない。 お兄さんはそう舌打ちし、食事を中断して本を手に取る。 そもそもお兄さんが持ってきたのに、どうしてれいむが見つけた事になっているのか。 ゆっくりへの対処法 食事編……58P それでもゆっくりが食事の際に我侭を言う事は多々あります。 曰くその食事は自分のものだ、餌の量が少ない、餌の味が悪い、などと要求は多種多様です。 そういった事を言い出した場合、罰として餌を取り上げたり、次の餌を極端に少なくしたりすると効果的でしょう。 ゆっくりの知能は非常に低いですが、餌についての事は案外素早く覚えます。 不満を言ったりすれば自分の餌がどんどん少なくなり、味が落ちていく、貰えなくなると理解させるのは難しくはないです。 しかし、まりさ種の場合は飼い主の食事を横取りしようとする事も多いので、反省したから箱から出して、などと言っても無視しましょう。 また、どうしても聞き分けないのなら絶食や体罰も手です。 絶食の目安は丸一日です。一食抜いた程度では、ようやく自分の命令を聞いて持ってきたと錯覚される事も多々あります。 半端にやると逆効果になるので気を付けましょう。 体罰は頬をちぎる、もしくは針で刺す程度でいいでしょう。 それによって力の差を覚えさえ、徐々に飼いならして行くのが最善です。 あまり初期から激しい体罰を加えると、まりさ種でなくとも恨みを抱く可能性があるので注意が必要です。 「おにいさんはやくれいむのところにはこんでね! あとここからだしてね!」 「……ゆっくり、一つ聞こう。これは誰の飯だ?」 「おにいさんばかなの、なんかいいえばわかるの? そのごはんはれいむのだよ、ゆっくりりかいしてね!」 「あっ、そう。馬鹿には今日の餌はなしだ」 そう言うとお兄さんはれいむの見ている前で黙々と食事を続ける。 どおじてだべじゃうのおぉぉ、などと色々聞こえて来るが、お兄さんにはただの雑音に過ぎない。 そして全て食べ終え、ごちそうさまと手を合わせた。 「明日お前に餌をやるかどうかはお前の態度次第だ」 「れ゙い゙む゙のごはんがあぁぁぁ」 「……ほんとに飼えるのか、こいつ?」 不安を覚えながらも、れいむを入れた箱に布を被せ、押入れにしまいこむとゆっくりは寝室へと向かう。 あの調子で騒がれた煩くて寝れやしない。 明日からの躾をどうするか考えながら、お兄さんはゆっくりと眠りに付いた。 本格的な虐待……ではなく調教は次回くらいで 躾マニュアルみたいな感じ書こうとしたけど上手く書けないな…… このSSに感想を付ける
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ゆっくり先生 「はい注目ー!今日の授業はゆっくりの行動についてだ。いいか、よく聞くように。」 教壇に立って大声を張り上げている彼の名前は、鬼意山。 もともとは生物学者だったが、今は小学校の教師をやっている。 彼の担当は理科。中でもゆっくりを使った実験で生徒から人気を集めている。 その残酷で楽しい授業から、いつしか「ゆっくり先生」と呼ばれるようになっていた。 「まず、ここに1匹のゆっくりがいる。どうだ?ゆっくりしてるだろう。」 「ゆっくりしていってね!!!」 『ゆっくり』という言葉に反応して、鬼意の連れてきたゆっくりが鳴き声をあげる。 教室の生徒も「すげぇ!ゆっくりだぜ!」「あたい、ゆっくり見たの初めてだよ。」などと騒ぎ出す。 生徒が興奮するのも無理はない。ここは大都会のど真ん中だ。 ゆっくりなんて、めったに見かけない。 見つけたとしても、死体で発見される場合が多い。 鬼意は教卓をバンバンと叩いて、教室の空気を鎮めると、再び授業を再開する。 「さっきの行動だが、あれは条件反射という。頭で考えるんじゃなくて、体が自然に反応するんだ。 ほら、もう一回いくぞ。ゆっくりしていってね。」 「ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!!!」 またも『ゆっくり』に反応して鳴き声をあげる。 そう、このゆっくりは実験教材なのだ。 もともとは、群れでゆっくりしていたのだが、運悪く鬼意に捕まってしまって現在にいたる。 「この反射は自分の意思とは無関係に起こる。じゃあ、ゆっくりにエサを与えてみるぞ。ホラ食え。」 鬼意は理科室の水槽から、水草を1本出してゆっくりに与える。 もちろん、ゆっくりはそれを「む~しゃむ~しゃ」しながら食べ始める。 「ゆっくりは今エサを食べているな。今こいつの頭の中はエサを食べることで一杯だ。ゆっくりしていってね」 「む~しゃむ~、ゆゆゆ!?ゆっくりしていってね!!!」 「おk!こいつは今、意識的に反応したんじゃないぞ。頭の中はエサのことで一杯だったが、体が「ゆっくり」という言葉に反応したんだ。」 「ゆぅ!ごはんのときはしあわせ~!させてね!ゆっくりできないよ。ぷんぷん。」 ぷくぅ~、と膨らんで怒りをあらわにするが、鬼意は顔色ひとつ変えずに授業を進める。 「反射には始動させる原因になる刺激がある。車でいうキーみたいなもんだ。たとえば、この場合は「ゆっくり」という言葉。 こういった刺激のことを『かぎ刺激』というわけだ。はいここ、テスト出るから。」 カツカツと黒板にチョークを走らせながら説明を続ける。 この説明の間も、ゆっくりは「む~しゃむ~しゃ」しているわけなのだが、鬼意の説明で「ゆっくり」という単語が出るたびに反応してしまう。 エサをまともに食べられない状態では、ゆっくりのストレスがマッハだ。 しかし、本当の地獄はここからである。 「じゃあ、これ回すからみんなでやってみろ。殺すんじゃないぞー、これ次も使うから。」 そういって鬼意は最前列右端の生徒にゆっくりを渡す。 「へへっ!ゆっくりだぜ!初めてさわったよ。ゆっくりしていってね。」 「ゆ~おそらをとんでるみたゆゆゆゆ!ゆっくりしていってね!」 「はははっ!おもしれー、マジで反応するぜ。ホラ、ゆっくりしていってね~」 「ゆぅ!ゆっくりしていってね!」 生徒は生まれて初めてのゆっくり苛りにテンションが上がっている。 ゆっくりは完全に生徒たちのオモチャと化してしまった。 「オイ俺にも貸せよ!」 「早く~!あたしもやる~。」 「ほらほら~ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ・・・ゆっくりできな・・・ゆっ!ゆっくりしていってね!」 「お前ら一人一回だー!あとのヤツはノート取れー。黒板消すぞー!」 どんどん広がるゆっくり苛りの輪。もはや教室の空気はカオスだ。 ゆっくりは自分の意思とは関係なく「ゆっくりしていってね」と無理やり鳴かされて、どんどん弱っていく。 生徒が全員さわり終わって、鬼意のところに帰ってきたゆっくりは、「ゆ・・?ゆっぐ、ゆゆっぐ!ゆっぐ?!」 などと始終ブツブツ言うだけの気持ち悪い饅頭になっていた。 「あー、お前ら苛りすぎだ。ほら見ろ、もう死にそうじゃねぇか。」 「せんせー!そのゆっくり死ぬんですかー?」 「バカいうな。こういういい加減な生き物はな、こうすると生き返るんだ。」 鬼意は『業務用特濃オレンジ全力800』と書かれたビンに入っている怪しげなオレンジの液体を、死に掛けているゆっくりに掛けてやる。 「ゆ。。。。ゆ。。。。ゆゆゆうゆ~~~ん!」 ゆっくりは跳ね起きると、アゴを張って「ゆっくりしていってね!!!」と鳴いた。 「おぉおおおおおおおお!」「すげぇーーー!」「ゆっくりちゃん死ななくてよかったねー。」 教室から歓声が巻き起こる。授業開始から20分が経っていた。 「じゃあおまいら、校庭出ろー!10分以内な。ゆっくりしてると成績下げるぞ。」 「ゆっ!ゆっくりしていってね!」 またもゆっくりが反応し、ドッっと教室中が笑いに包まれる。どうやら生徒はゆっくりを気に入ったようだ。 10分後、生徒は校庭に集合し、鬼意はさっきのゆっくりを連れてやってきた。 「じゃあ次は、ゆっくりの移動について説明すっぞ。ゆっくりは基本的に跳ねて移動する。これは体の弾力を使った移動方法だ。 じゃあ実験するぞ。ホラ、取ってこい。」 鬼意は飴玉を10mくらい離れたところに投げる。 ゆっくりはそれを追って「ゆっ!ゆっ!」と跳ねていく。 ていんていんとバカみたいな効果音が校庭に響き渡る。 「また、ゆっくりは食べ物や虫に「○○さん」などと敬称をつけて鳴く習性がある。これは反射ではなく本能行動だ。反射と違って、かぎ刺激などは必要ない。 しかも通常種のすべてのゆっくりが例外無くこの鳴き方をする。良く見ていろ。」 「ゆっ!ゆっ!あまあまさん、ゆっくりたべられてね!」 鬼意の言ったとうりに行動するゆっくりを、生徒達はニコニコ見守っている。 「では次は底面だけの移動だ。これは内部の餡子を使って、底面を波打たせることによって移動する方法だ。」 「ゆぐ!?ゆゆゆ!ゆげっ!ゆげぇ・・・・」 突如、餡子を吐き出し始めるゆっくり。 鬼意は黙って見ているが、生徒達は心配そうだ。 「せんせー!ゆっくりが苦しんでるよ?オレンジジュースあげないの?」 心配した優しい女の子が、ゆっくりの所に駆け寄ろうとするが、鬼意はその肩をつかんで制す。 「今ゆっくりに与えた飴には毒が混ぜてある。これで体内の餡子を半分ほど吐き出させるんだ。 そうすることによって、弾力を失い跳ねることができなくなると、ゆっくりは底面を波打たせて移動するようになる。 これは授業だ。よく観察したまえ。」 鬼意の顔からは、さっきまでの笑顔は消えていた。 それは以前加工所に勤めていた時のような恐ろしい顔だ。 「ほら!ゆっくり!ここにオレンジジュースがあるぞ。さぁ取りにこい!」 どこから出したのか、鬼意はビーカーに入ったオレンジの液体を手に持っている。 「ゆ・・・ゆげぇ・・・・そろーり・・・そ・・ゆげぇ・・・そろーりそろーり・・・」 ついさっきまでの元気は無く、餡子を吐きながら、ゆっくりと地面を這って来る。 鬼意はニヤニヤとその様子を見守っている。 「ゆっ・・・ゆっぐりしだいよ・・・おにーざん・・・あまあまかけてね・・・ゆっくりのませてね・・・」 鬼意はビーカーを傾けると、液体をゆっくりに頭から掛けてやる。 しかし、ゆっくりの様子が変わらない。 なにやらジューーという変な音が聞こえてくる。 「ゆぅううううううぎゃぁあああああ!あづいいいぃいいいい!あづいよぉおおおおお!じにだくないぃいいいい!おうぢがえるぅううう!」 「ふふふ・・・ハハッハッハ!ヴァカめ!塩酸だよ、それは!絵の具で着色してあるけどねーーーー!ヒャッハァアアア!」 鬼意の虐待スイッチは、いつのまにかONになっていた。 こんなことを生徒の前でやっていいわけがない。 だが、ゆっくりを虐待するのは俺の本能行動だ。 「ゆっくりしていってね!!!」を聞くと殺さずにはいられないのは俺の脊髄反射だ。 ゆっくりはしばらく苦しんだ後、黒こげの塊となって動かなくなった。 生徒たちの空気が凍りつく。 あの優しい鬼意先生が、まさか虐待おにいさんだったなんて。 普通なら、生徒からの信頼を失い、もうだれも真面目に授業を聞いてはくれないだろう。 しかしこのクラスは、何かがズレていた。 「やだ・・・なにこれ・・・イイじゃない・・・」「う・・うほっ!おっきしてきた!」「キャハ!ゆっくりってこんな風に叫ぶのね・・・」 「じにだくない~♪あん!たまんないわ!」「フーハー・・・・フーハー・・・・フゥウウウウハァアアア!!」 「いいぞ!もっとやれ!」「もう終わり?つまんなーい。」「先生、今度ウチにおいでよ。フフ・・・僕様の美麗なる虐待を拝見させてあげるよ。」 生徒は皆、ゆっくりの断末魔を聞き、キラキラと目を輝かせていた。 鬼意はスッキリとした顔で空を見上げた。 鬼意の様子を見て、生徒もまた、空を見上げた。 その視線の先には、大きなくじら雲が浮かんでいた。 キーンコーンカーンコー-ン 授業終了のチャイムが鳴り響く。 次は皆大好きな昼休みだ。 「今日の授業はここまで。みんな家に帰ってから復習するように。ところで、ここに1匹の子ゆっくりがいるのだが・・・」 鬼意はポケットから、テニスボールサイズの子ゆっくりを取り出す。 一瞬にして生徒の目つきが変わる。 「俺は飼わないから、ここに逃がしてやろう。」 鬼意はニヤニヤしながら、子ゆっくりを校庭の隅に置いた。 「ゆっくりしていってね。」 「ゆっくちちちぇっちぇにぇ!」 別れの挨拶を交わすと、子ゆっくりに背を向けて歩き出す。 子ゆっくりは、いきなり広い校庭に置き去りにされ、キョロキョロと戸惑っている。 生徒達は1ミリも動かない。ただじっと鬼意の背中を見つめる。 鬼意が校庭を出て、校門の門を曲がった。次の瞬間。 「「「「「「「「「ッヒャァアアアアアアア!!!虐待ッダァアアぁあああああああああ!!!」」」」」」」」」」 「ゆゆ!?ゆっくちやめ・・・」 「ハッハッハ。目覚めたか・・・少年達よ・・・」 鬼意はニヤリと黒い笑みを浮かべたまま、理科室へと戻るのだった。 あとがき 読んでいただいてありがとうございます。 この前、体付きのれいむ&まりさのSSを書いた人です。 感想ありがとうございました。 今回は虐待描写を多くするように頑張ってみました。 このSSに感想を付ける
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※○ちゃん「ぱられるぱられる、もうどうにでもなれ〜」 ※「僕はこうして〜」シリーズの無断クロスです。レイパーさん、ごべんなさい ※いじめは、うん・・・すまない、特にないんだ。正直作者の自己満足の境地です ※登場人物紹介とかはあとがきの後に記載しています 「おねーさん!すいか、ゆっくりにんげんさんにあいたいよ!」 きっかけは我が家で飼っている珍種ゆっくり、ゆっくりすいかのそんな一言。 ゆっくり人間とはすいか曰く、人間とゆっくりの間に生まれたナマモノで外見は人間と変わらないらしい。 が、身体の成分が一部ゆっくりのそれに類似しており、またゆっくりにエライ勢いで好かれるそうだ。 すいかはこんな馬鹿げた都市伝説をどこからか、恐らくテレビ辺りで仕入れ、なおかつその実在を見事に信じきっているらしい。 そんな生物学者がまた何人か発狂しそうなナマモノがいるはずも無いと言うのに、連日連夜会いたい会いたいと喚き続けるすいか。 私はずっと「居ないものとは会えない」の一点張りで押し通してきたのだが、結局彼女の執念に負けしてしまった。 「そんないきさつでれいむたちはゆっくりにんげんさんをさがしにおでかけをしているんだよ!」 「きょうはどんなゆっくりしたことがおきるのかな?!」 「ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりしていってね!」 「アンタら、誰にナレーションしてる?」 左右の肩にれいむとまりさ、頭上にすいかという傍目には私こそゆっくり人間だろうと言わざる得ないような出で立ち。 それ以外はジーンズ、Tシャツ、白のコート、メガネと至ってシンプルなのだが人の顔の周りで騒ぐこいつらのせいで道行く人々の注目を意味も無く集めていた。 これが私の美貌のなせる業・・・であればどれだけ優越感に浸れただろうか。 しかし、現実というのは残酷なもの。 他の女性を圧倒しているものは胸くらいの私にそこまでの魅力はなく、行き交う人々の視線は私の顔の周りでゆんゆん歌っているゆっくり達に向けられている。 地元ならまだしも、見ず知らずの土地へ向かう電車の中では「何、あのゆっくり馬鹿」と言わんばかりの好奇の眼差しが少し痛かった。 「ということで、れいむたちはゆっくりにんげんさんのまちについたよ!」 「ゆっくりにんげんさんはみつかるかな?!」 「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね〜〜〜〜〜!!!」 目的の駅に到着した時、また誰かに向けてナレーションをし始める我が家のゆっくりども。 近くに座っていた中学生のグループがクスクスと笑うのを一瞥し、電車を降りると、階段を駆け下りて、改札を後にする。 余談だが、すいかのおかげで無料で乗車できた。理由は言わずもがな。 この無意味にピンポイントなサービスは一体誰が得をするんだろうか・・・心の中でそう突っ込んだ直後に、自分が得をしていることに気付いた。 ゆっくり人間を探して訪れた街は一見すると何の変哲もない普通の街だった。 強いて特徴を挙げるとすればゆっくりが比較的浸透していて、飼いゆっくりや野良ゆっくりが平然と人々の隙間を縫うようにして通りを行き来しているくらい。 そのあまりの平凡さを訝しく思ったれいむは「ほんとうにここにいるの?」と首をかしげていたが、私がこの街を訪れたのには理由があった。 「ねえ、おねーさん?」 「んあ?」 「ほんとうにゆっくりにんげんさんはここにいるの?ゆっくりしたふつうのまちだよ?」 「ああ、多分ね」 この街にゆっくり人間がいると思った理由は至って単純。 私が勤めているゆっくりショップのバイト仲間にゆっくり人間について尋ねてみたところ、この街の名前が挙がったからである。 彼が適当なことを言っていたり、間違っている可能性もあるのだが、話を聞いた後に調べてみたらこの街には“ミスターゆんちぇいん”がいることが判明した。 「みすたーゆんちぇんってなあに?」 そう言って首をかしげたのはまりさ。 すいかもれいむも言葉の意味が理解できずに首をかしげている。 そんな訳で、私は彼女らに、私自身最近知ったその言葉の意味を説明してやった。 「ミスターゆんちぇいんって言うのは・・・ゆっくり関係で凄すぎる記録を残したせいでゆっくりカンパニーの人工衛星で常時監視されている人のことだよ」 もっとも、一介のアルバイトに過ぎない私では流石にその監視衛星の映像を見ることは出来ないし、眉唾もいいところではあるが。 「ゆゆっ!じゃあ、ゆんちぇいんさんはすごくゆっくりしてるんだね!れいむゆんちぇいんさんにあいたいよ!」 「まりさも!まりさも!」 ついでに彼らが時速5km以上で移動するとバッジに取り付けられた迷子防止用のGPSの座標が70mずれることも付け加えておいた。 すると、まだ何が凄いのかは一言も言っていないのにれいむ達は何か凄そうな人がいると聞いて大はしゃぎ。 そんな3匹の様子を見て、何が凄いのかを教えてあげた。 「ちなみにここのゆんちぇいんはゆっくりレイプギネス記録保持者ね」 「「「ゆげぇ!」」」 それじゃゆっくり出来ないよと言わんばかりの表情になった3匹は「かえろうよー!」などと言い出した。 が、「ゆっくり人間を探すんだろう?」の一言ですいかが立ち直り、れいむとまりさも巻き添えを食う格好ゆっくり人間捜索に参加させられる。 「にんげんさんのすっきりごわいよおおおお!」と泣き喚くれいむとまりさはなかなかに可愛かった。 そんなつまらないやり取りから数時間後。 何故か観光スポット巡りに興じてしまった私たちはゆっくり人間のことをすっかり失念していた。 気がつけば陽が沈み、弁当を買って立ち寄った公園には殆ど人影が見当たらない。 そんな静寂の中、ようやく見つけた私以外の人間は・・・ 「・・・・・・うへぇ」 「おねーさん!ここはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりしないでにげようね!」 長身の、ガタイの良い黒人の男性だった。 勿論、それだけならば驚くほどのことでもない。 問題は彼の、一糸纏わぬ生まれたままの姿にあった。 変態?危険人物?・・・普通に考えたら貞操の危機を感じるべきところなのだろう。 が・・・・・・ 「オー、ヤッパリタマニハゲンテンニカエッテオーソドックモイイモノデス」 「やべでえええええ!でいぶずっぎぢぢだぐないいいいいい!?」 「HAHAHAHAHA!」 その黒人男性はどうやらHENTAIお兄さん、もしくはゆっくりレイパーらしい。 HENTAIお兄さん・・・ゆっくりを性の捌け口にする異常性癖の持ち主の総称である。 流石に飼いゆっくりに手を出すようなことは稀だが、野良ゆっくりにとっては虐待愛好家に次ぐ脅威。 勿論、現物を、そして現場を目撃するのは私も初めてのことだった。 「・・・・・・そういえば」 流石にこの光景を平然と直視することは出来ないが、相手がゆっくりならとやかく言う事もないだろう。 そう思った私は、店の先輩から聞いた「レイパー同士は惹かれあう」という言葉を信じて彼にギネス記録保持者の居場所を聞くことにした。 彼がゆっくりれいむを犯している茂みから少し離れたベンチに腰掛け、そこにれいむとまりさとすいかを下ろす。 「ゆゆっ、にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」 「「「やめちぇね!ゆっくちできにゃいよ!」」」 「ワオ、マリサニコドモタチモヤッテキマシタ」 「ゆぎぃ!?やめてね!にんげんさんのすっきりはこわいよ!ゆっくりできないよ!」 どうやらつがいを助けに来たまりさやその子ども達を相手に第2ラウンドに突入したらしい。 流石にあれだけの数を相手するとなると長くなりそうなので、彼らの嬌声や悲鳴をBGMにして弁当を広げる。 我が家のれいむ達が「ゆっくりできないいいい!」と喚くのをでこピンで黙らせ、昼ごはんを食べ忘れたため8時間ぶりになる食事にありついた。 「むーしゃむーしゃ・・・幸せ〜」 「ず、ずっぎぢー!」 「もっちょ・・・ゆっくちちたかっちゃよ・・・」 「フゥ・・・スッキリー」 私が鮭弁当のチープな美味さを満喫し終えた時、ちょうど男性もゆっくりを満喫し終えた。 傍らでは我が家のゆっくり達が同胞を助けてあげられなかったことを悔やんで「ごべんねぇ!」と謝り続けていた。 いや、あの手つきと技術を見る限り殺さないように加減してるよ・・・そうフォローしようとした時、レイパーの男性が、ちゃんと服を着て茂みから姿を現した。 「イヤァ、オミグルシイモノヲ」 「ん、ああ・・・お構いなく。こちらこそ、お楽しみの邪魔をして申し訳ない」 ファミレスの椅子に腰掛けたままの私とドリンクバーの安物のコーヒー越しに視線が合った男性は頭をかきながら照れ笑いを浮かべている。 レイパーとは言え性癖以外は他の人と変わらないわけで、黒い肌とは対照的な白い歯を輝かせている彼はなかなかの好青年のように思えた。 彼に会釈しながら、れいむとまりさとすいかを抱きかかえて立ち上がり、必要も無いのに軽く自己紹介を済ませた。 「ボブさん、だったっけ?」 「ハイ、ナンデショウ?」 「あれ、趣味なの?」 「イエス、ワタシユックリダイスキデス!」 「ゆゆっ!だったらひどいことしないでね!ゆっくりできないよ!」 「そうだよ!ゆっくりさせてあげてね!」 満面の笑みを浮かべてサムズアップするボブに対して怒り心頭のれいむ達。 しかし、ファミレスで騒ぐと迷惑になるし、それに大声で話すようなことでもないので頭をはたいて黙らせた。 その後も3匹は頬を膨らませて抗議していたが、大声で叫ぶようなことはなかった。 「シツケガジョウズデスネ」 「特別なことをしているつもりはないんだけどね」 「ソレニシンライサレテイマス」 「全く嬉しくないけどね」 「ナニヨリスゴクカワイイ」 「1回50ドルで貸してあげても良いけどね」 そんな具合で、すぐにボブと打ち解けた私は早速彼にゆっくり人間について尋ねてみる。 しかし、帰って来た言葉は「ウワサクライハシッテイル」という非常に曖昧なものだった。 その回答に目に見えて落胆するすいかの頭を撫でながら、私はもう一つの質問をぶつけてみた。 「じゃあ、ここら辺で一番実力のあるゆっくりレイパーって知ってる?」 「レイパーハプライバシーヲマモリマス」 「・・・そりゃそうか」 多少親しくなったとは言え所詮は見ず知らずの相手。 もしかしたらレイパー撲滅を狙う組織の人間かもしれないし、そうでなくても金目当てで情報を売る可能性だってある。 最近もどこかでゆっくりレイパーの会合をアンチレイプの組織が襲撃しようとしたなんて話を聞いた気がする。 いや、そもそも世間に公表できるような性癖でないのだから、容易に口外できるものではないのだ。 「仕方ないか・・・今日は安いカプセルホテルにでも泊まって、明日また探そう」 本日の捜索を諦め、ボブに適当なホテルの場所を教えてもらった私は、会計の全てを彼に託してそそくさとファミレスを後にした。 『地球がゆっくりする日』や『Yull E』の話題で盛り上がった手前、少し気が引けたがホテル代を捻出するためだから仕方ない。 結局ゆっくり人間は見つからなかったが、ボブに遭遇したことで色んな情報を得ることが出来た。 彼の日本語の習得状況を鑑みるに、来日して何年も経っているようには思えない。 にもかかわらず、近くのファミレスやカプセルホテルの場所を知っていた。 それにあの公園でレイプされていたまりさは「にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」と言っていた。 つまり、あそこの公園のゆっくりは頻繁に人間からの干渉を受けていると考えられる。 確証はないが、明日はあの公園に張り込むのが最善策だろう。 翌朝、まだ陽も出ていない時間から私とれいむ、まりさ、すいかは例の公園での張り込みを開始。 懐中電灯片手に公園の中を散策すると、いとも簡単に野良ゆっくりの巣をいくつも見つけることが出来た。 まだ人間の姿は見当たらないが、そこには朝ごはんと称して人間の捨てたごみを集めて回るゆっくり達の姿があった。 余談ではあるが、その中に昨日レイプされたれいむ一家の姿もあった。予想通り、全員健在のまま。 「もうすぐにんげんさんのくるじかんだよ!」 「ゆっくりおうちにかえるよ!」 「「そろーり、そろーり・・・!」」 散らかしたゴミが巣まで一列に並んでいるのだが、どうやら彼女達はそのことに気付いていなかった。 あるものは子ども達を引率してゴミ置き場で拾った生ゴミを溜めて帰り、またある赤まりさはお菓子の袋を持って帰っていった。 そんな光景を尻目に私たちも彼女達と同じように適当な茂みに身を隠して、人間が来るのをじっと待つことにした。 「ぱちゅりーは本当に馬鹿ね」 「んぶぅ〜!」 「むきゅ〜、も言えないなんて伝説的だわ」 「ん〜、んん〜!?」 数分後、割りと珍しい胴付きぱちゅりぃを連れた少女が公園に姿を現した。 一見すると勝気そうで、なおかつ真面目そうな少女とお馬鹿で有名なぱちゅりぃというのは違和感を覚える組み合わせである。 しかし、よくよく見てみるとぱちゅりぃは猿轡と首輪を装備済み。 ああ、あの子もそっちの世界の住人なのか・・・と納得しながら、彼女を観察し続ける。 「さあ、ぱちゅりぃ。ゆっくりを連れてきなさい」 「んぶぅ〜・・・」 ぱちゅりぃはきょろきょろと辺りを見回し、においを嗅ぐような仕草をしながらふらふらと歩き始めた。 一方、少女は首輪のリードを握ったままぱちゅりぃの後を追いかける。 そして、必死の形相でゆっくりを探し回っていたぱちゅりぃがようやく見つけたゆっくりは・・・ 「んぶぅぅぅぅぅぅううぅぅぅ!!」 「ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」 「ぱちゅりぃをゆっくりさせてくれないおねえさんがきらいだよ!ぷんぷん!」 「すいかおこるよ!ぷくぅぅぅうううう!」 「う゛・・・」 私と一緒に茂みに隠れていた我が家のゆっくりども。 目が合ったときの彼女のばつの悪そうな表情はなんとなく可愛らしかった。 「ふぅん・・・で、たまにここに来てゆっくりを虐待しているわけね」 「・・・はい」 ベンチに腰掛け、ホットコーヒーで暖を取る私と少女。 彼女はまるでポエムを書き溜めたノートを拾ってくれたが、不可抗力で中身を見てしまった親切な人を前にしたときのような表情を浮かべている。 これが知人であればしこたまからかってやるところなのだが、流石に見ず知らずの少女相手にそんなことはしない・・・はず。 せいぜい必死に弁明する彼女の表情をにやにやと笑いながら眺めつつ、私の膝の上でいまだに膨れているれいむ達の頭を撫でる程度。 「ゆっくりできないいいわけはやめてね!」 「そうだよ!ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」 「そうだよ!ぷんぷん!」 我が家のゆっくりどもは同族の虐待風景なんか目の当たりにして黙っていられるような連中ではない。 こっぱずかしそうにしている彼女に向かってもっともな文句を口にする。 が、流石に早朝のまだ辺りも暗い時間に大声で喚かれては近所迷惑もいいところ。 「だからアンタら五月蝿いよ。頭を少しかじってやろうか?」 「「「ゆっ・・・!」」」 「・・・・・・愛でお姉さん、じゃないんですか?」 「じゃないんです、断じて」 できるだけ柔和に微笑みながら、言われたとおりに膝の上で黙っているれいむの額にでこピンをお見舞いする。 「なんだぁ・・・だったら、必死になって言い訳する必要なんてなかったのね・・・」 「Exactly」 ついでにもう一発、今度はまりさにでこピンをお見舞いするのを見た彼女は盛大にため息を吐いた。 「そもそも・・・仮に私が愛でお姉さんでも首輪や猿轡くらいは飼い主としての責任の範囲内だから責める理由がないし」 「・・・え?」 「それにまだ虐待らしい虐待の現場は目撃していなかったわけよ」 「それじゃ・・・」 ようやく状況を把握したらしく、赤くなった顔を両手で隠す少女。 そして、にんまりと意地の悪い笑みを浮かべつつ、彼女の肩を優しく叩く私。 「そ、完全に、一部の隙もなく、貴女の自滅」 耳まで真っ赤になるのが手に取るように把握できた。 「と、まあ、そんなことは置いといて・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 指の隙間から見えるジト目に篭った殺気を感じた私は意地の悪い笑顔はそのままに話題を強引に切り替えた。 すると、彼女も顔を覆っていた手を膝の上に戻し、いつの間にか温くなってしまった缶コーヒーのプルトップに指をかける。 ようやく陽が昇り始め、徐々に明るくなってきた公園にぱちんっ!という軽快な音が響き渡った。 「一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」 「なんですか?」 「ゆっくり人間って知ってる?」 その言葉を聞くや否や露骨に怪訝な表情になる少女。 私だってそんな質問されたら同じような顔をしただろうからその気持ちはよく分かる。 というか、私だってすいかの与太話でその存在を知っただけだから半信半疑だ。 「そんなの訳の分からないもの知りません」 「だよねぇ・・・」 私は彼女の言葉に首肯した。 続いてレイパーに関する質問もしようかと考えたが、流石にカタギにする質問じゃないのでやめた。 立ち上がり、リードを握られたままのぱちゅりぃを指差す。 「こんなの人目にさらすのも体裁が悪いから、そろそろお開きしようか?」 そんなこんなで、挨拶もそこそこに彼女と別れた。 「いや、そんな都市伝説聞いたこともないよ」 「ゆっくりにんげんさん?れみりゃのことなのぜ?」 「強いて言うなら君が一番そんな感じだよ」 「ち〜んっぽ!びっくまらぺにすっ!」 「JAOOOOO!JAO!JAO!JAOOOOOOOON!」 「そんなことよりれいむのおうたをきいていってね!」 少女と別れた私たちは、公園に住むゆっくりや散歩中の人達にしらみつぶしに話しかけてみるが全く成果が得られない。 ゆっくり人間の事を訊けば怪訝な顔をされるし、ギネスレイパーのことを訊いても人間なら顔をしかめ、ゆっくりなら怯えるばかり。 代わりに得た情報と言えば以前この公園のゆっくり達を二分していた対立と、両勢力の共通の敵となることでその対立を鎮めたレイパーのこと。 そして、人間に虐められているのを助けてくれたゆっくりふらんを連れたとてもゆっくり出来るゆっくりのこと。 もしくは時々この公園に出没するゆっくりふらんを連れた少年のこと。 「う〜ん・・・やっぱり情報が集まらないな・・・」 「れいむ、もうつかれたよぉ〜」 「まりさもだよ〜・・・」 「ゆゆっ!でも、ゆっくりにんげんさんはこのまちにいるんだよ!」 元々半信半疑だった私とどうしてもゆっくり人間に会いたいわけではないれいむとまりさは半ば諦めモード。 対して、どうしてもゆっくり人間に会いたいすいかは私の頭の上から檄を飛ばす。 が、疲れていることもあって私やれいむ達の反応は鈍い。 「きっとアンタの妄想だよ・・・」 「れいむ、なんだかねむいよ・・・」 「まりさも・・・」 朝から歩き詰めでいい加減飽きてきた私はれいむ達と一緒にうつらうつらと舟を漕ぎ始める。 そんな私を起こすためにすいかは膝の上に飛び降り、お腹に何度も体当たりを仕掛けてくるが、何故か余計に眠くなってきた。 そうして、れいむとまりさが本格的に眠ってしまったその時・・・ 「どうも・・・清く正しく、きめぇ丸です」 「んあ?」 風と共に、どこからともなく姿を現したのはスレンダーなボディの上に乗っかった下膨れの顔をニヒルに歪めた鬱陶しい饅獣。 きめぇ丸・・・かなり貴重なゆっくりの一種で、胴無しのものは知人が飼っているので何度か見たことがあるが、胴体付きを見るのはこれが初めて。 睡魔と戦っていたこともあって、私は彼女がゆっくりであることを理解するのに3秒程度の時間を要した。 「あなた達ですか、ゆっくり人間を探していると言うのは?」 「ん、まあ・・・一応」 「ゆっくり人間は見つかりましたか?」 きめぇ丸はニヒルな笑顔を一層ニヒルに歪める。 「いや、ヒントすらもつかめない状況」 「そうですか」 私の返答と、今までの聞き込みで得た情報を聞いた彼女はブンブンと高速で首を振った。 そのあまりのゆっくり出来なさ加減にすいかがすっごい表情で怯えているが、まあ気にすることでもないだろう。 「で、アンタは何のために話しかけてきたの?」 「みょんやめーりんと話せる人間が居ると聞いたので、少し興味が湧きまして。本当なのですか?」 「あー・・・本当だよ。なんか知らんけど言葉が分かる」 「おお、すごいすごい」 またしても高速シェイクするきめぇ丸。 少々鬱陶しいが、何らかの悪意があって話しかけてきたわけでもなさそうなので我慢する。 「ところで・・・」 「んあ?」 「ヒントすら掴めていないと言いましたが多分それは間違いです」 そう言って彼女は自信満々に微笑んでみせる。 パッと見、先ほどと変わらぬニヒルスマイルだがその笑顔に宿る感情が微妙に違うのに気付いた。 「あなたがいくら特殊なゆっくりと話せたところで人間以外の何者でもありません」 「そりゃそうだ」 「だから私の目にも人間の目にもあなたがゆっくりとして映ることはないでしょう」 「当たり前・・・あれ?」 ここまで言われてようやく、私は彼女の言葉の意図を理解した。 みょんやめーりんと会話できたところで私は人間だから誰の目にも人間としてしか映らない。 どんなに知能が高くてもきめぇ丸はよほど寝ぼけていない限りは人間と見間違えることはない。 なら、ゆっくりと人間のハーフなるものが居たらそれはどのように映るのだろうか? 「ああ、そうか・・・」 相変わらずニヒルな下膨れ顔を左右に振るきめぇ丸から視線を外し、俯いて考える。 もし、ゆっくり人間が人間の目には人間として、ゆっくりの目にはゆっくりとして映るのであれば、私たちは既に大きなヒントを得ている。 勿論、どちらの目にも同じように映る可能性はあるが、そうなってしまうと肉眼に頼る手段では判別不可能だから私たちにはお手上げだ。 「ふらんを連れたゆっくり・・・か」 もし、ふらんを連れたゆっくりがれいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありすなどのメジャーな種族であれば彼女達は必ず種族名も教えてくれるはず。 ましてや、ふらんを連れているのにゆっくりしているというのはどこかおかしいように思えた。 その上、ゆっくりふらん自体が既に貴重な種族で、めったにお目にかかれるようなゆっくりではないのだ。 「なのに、この公園にはふらんを伴う人(orゆっくり)が二人もいる・・・」 きめぇ丸のもったいぶった言葉に意味があるならば、この両者は同一人物なのではないだろうか? からかわれている可能性もあるが、他に頼りに出来る情報がない以上、信じるしかあるまい。 なら、私たちがすべきことは一つ。 「ふらんと飼い主を、それも私の目には人間に見えて、すいか達の目にはゆっくりに見える人を探せばい・・・あれ?」 すべきことを理解した私が顔を上げた時、きめぇ丸もとい敬意を表してきめ子さんと呼ばせていただこう、の姿はなくなっていた。 それからはとんとん拍子で事態が進んでいった。 ふらんの飼い主が地元の中学生だか高校生だかの少年であることが判明し、すぐにその少年の学校も割り出すことが出来た。 「むにゃ・・・そんなわけで、れいむたちはぎわくのゆっくりゆっくりふらんがおさんぽしているのをみつけたよ!」 「ふにゃ・・・これでゆっくりにんげんさんにあえるかな?」 「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね!」 と、れいむ達の説明の通り、現在私たちは通りで見かけたゆっくりふらんを尾行していた。 念のため買っておいたサングラスを装着し(もちろんれいむ達も)、電柱の影から彼女を見守る。 「・・・・・・あのー?」 「ゆゆっ!いまとりこみちゅうだよ!」 「ゆっくりあとにしてね!」 若い男の声を聞き流しつつ、私たちはふらん監視を続行する。 「・・・いや、取り込み中じゃないだろ」 「もう、おにーさん、れいむたちとりこみ・・・ゆゆっ!!?」 「どうしたのれい・・・ゆゆゆゆっ!!!」 「んあ?どうした?」 振り返ると、そこにいたのは地元の学生と思しき少年。 一見するとこれと言って変わったところはないのだが、彼の姿を見たれいむ達は目をハートマークにして見惚れている。 確かにパッと見はごく普通の少年なのだが、どこか違和感を覚える。そして・・・ 「「すごくゆっくりしたおにーさんだよ!」」 れいむ達の発したその一言で、彼こそ探していたゆっくり人間であることを理解した。 同時に、彼の訝しげな視線を見て、自分がかなり不審であることを把握した。 もしかしたら「ゆっくりフェロモンで一儲けしようとした企業が、彼を拉致って精液を搾り取ろうと送り込んできた刺客」だなんて誤解をされているかも知れない。 何故か知らないがそんな懸念を抱いた私は彼の警戒心を解く為に、出来るだけにこやかな笑みを浮かべて挨拶をした。 「こ・・・こんばんは、ゆっくりしていってね」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 確かな文章力と優れた構成力に裏打ちされたレイパー氏の作品の中でもこの作品は特に魅力的だと思うんですよ その理由を考えてみると、この世界の人たちって日常を何となく想像できてしまうくらい存在感があるからじゃないかと 猫被って?瀟洒に振舞っている委員長とか、HENTAI要素を隠しきれていないボブとか もっとも、想像は出来たところで、真偽を知る術はレイパー氏に聞くしかないわけだし、あらゆる面で氏にかなわない以上、レイプになってしまうのは否めないわけですが ほんと、レイパーさん、ごべんなさい byゆっくりボールマン 【登場人物紹介】 お姉さん 初登場は『ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり』 ノリと勢いでゆっくりを10匹も飼う事になってしまった一人暮らしの女子大生 恐るべき酒豪で、お胸がドス級。ゆっくりに対してはかなりハイスペック みょん語等を解し、天性の飼育上手で、好かれ易いが生物学的には平凡な人間 口も性格もあまり良くないし、わりと容赦しないタイプなのに何故か懐かれる れいむ&まりさ 初登場は『ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり』 今作ではいらない子。若干頭が良い程度の平凡なゆっくりで六児の親 ただし、れいむはゆっくりながらもインターネッツを使いこなせたりする すいか 初登場は『ゆっくりすいか系いじめ1 ゆっくりすいか』 角にお酒が詰まっている。空気を吸い込むと半端なく膨らむ(曰くみっしんぐぱわー) かなりのテレビっ子で、ワイドショーやくだらない都市伝説が大好き みすたーゆんちぇいん 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 会社員。課長クラス。ゆめぇ丸を妊娠させた経験がある ゆっくりレイプに関しては右に出るものがいないが、世間的には真人間で通っている ボブ 初登場は『ゆっくりいじめ系1632 ボブはこうして出会いました』 スラム育ちの巨漢の黒人男性。ゆっくりが大好物(二つの意味で)の変態 注:日本において単独でレイプを行うかどうかは微妙なところです 少女 初登場は『ゆっくりいじめ系1682 僕はこうして出会いました』 学校では成績はトップ、真面目で明るく、誰の相談にも乗る優しい素敵な委員長 しかし、優等生にも色々あるらしく、ゆっくりに八つ当たりすることがあるとかないとか 注:ぱちゅりぃに対する虐待?は『僕はこうして出会いました』の記述と矛盾します ぱちゅりぃ 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 胴体付きのゆっくりぱちゅりー。この種族の例に漏れずお馬鹿である 一時はみすたーゆんちぇいんの愛人だったこともあるが、現在は少女のペット きめぇ丸 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 人間との間に子どもをもうけた前代未聞のゆっくり。彼女もまたド変態 注:考えてみりゃ彼女がお姉さんに助言する動機は微塵もありません ゆっくりふらん 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 ゆっくり人間のペットと誤解されているが、実際にはゆっくり人間の恋ゆっくり 注:レイパー氏の作品世界においてゆっくりが単独で散歩するかどうかはわかりません ゆっくり人間 初登場は『その他 僕はこうして生まれました』 学生。思春期まっさかりの少年。実はゆっくりと人間のハーフだったりする ゆっくりに対してはかなりハイスペックな性能を有する
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ほんのり俺設定注意 平日の朝。 会社や学校に向かう前の支度に追われる、一番忙しい時間帯。 母は朝食と弁当を作り、次女は身支度の真っ最中。父は新聞を読んでいる。 そんな慌しい情景の中、部屋の片隅に置かれていた透明な箱から声が上がる。 「ゆ~!れいむのあかちゃん ゆっくりうまれてきてねぇ~!」 「とってもゆっくりした あかちゃんなんだぜっ!」 れいむとまりさが水槽の中に入っていた。頭には3体のあかちゃんが実っている。 大きさは上々。そろそろ生まれ落ちてくると見て間違いは無い。 そわそわと心躍らせながら、赤ゆを熱く見つめている。 2階から騒がしく階段を降りる音が聞こえて来た。 あまりの騒音にゆっくり達は不満顔。 「うるさいよ!」「あかちゃんがいるんだよっ!」などと口煩く騒ぎ立てるが、誰も相手にしない。 階段を転がるように降りて来たのは長女だった。 遅刻しそうだから朝ごはんはいらない。と伝えているらしい。 それを聞いた母は「しょうがない子ねぇ」と言いたげな優しい微笑みをしながら、 ある言葉を娘に伝えた。その後、長女は小走りで水槽へと向かう。 「ゆっ!あかちゃんをみてゆっくりしたなら あまあまをちょうだいね!」 「れいむはあかちゃんいるんだよ!いっぱいたべるのはとうぜんのけんりだよ!」 昨日の夕方頃。れいむ達はこの家に来て、「ゆっくりぷれいすにするよ!」宣言をした。 暫らく待ったが、何処からも反論が無い。だからここはれいむ達の家だよ! 一緒に住ませてやってる人間達は、透明なゆっくり出来る別荘を作ってくれた。 昨晩はすっきりしてあかちゃんを宿し、美味しい物をたらふく食べた。 れいむ達は幸せの頂点にあった。 お互いに美ゆっくり(ゆっくり視点)で食べ物も人間が持ってくる。 素晴らしいゆっくりぷれいすを手に入れたのだ。 「はやくあまあまをちょうだいね!ぐずはきらいだよっ!」 「ゆっ!?あかちゃんがうまれそうだよっ!」 「ゆゆっ!?ゆっくりうまれてきてねっ!」 かわいい子供が生まれる。これでますますゆっくりできる! そんな期待を込めつつ、赤ゆを熱く見つめた。 小刻みに震え、声を漏らしながら誕生しようと頑張っている赤ゆ。 それを見るれいむ達は涙が滲む。 最高の挨拶を返す為に大きく息を吸う。 ついに待ち望んだその時が訪れる! 『『ゆっ?』』 …赤ゆが消えてしまった。れいむ達は呆然とする。 辺りを見渡すと、生まれ落ちようとした赤ゆを、何故か人間が指で摘んでいる。 そして、小さな唇を開いて赤ゆを口の中に放り込む。 赤ゆを租借しながら、長女は慌しく家を出て行く。 その後を追う様に父と次女も家を出る。 そこでようやく、れいむとまりさは理解した。 目の前で可愛い赤ちゃんが食われた事を。 「れ…。れいぶのあがぢゃんがーーっ!?」 「うわぁあ゛ぁぁぁぁっ゛!?」 そんな混乱状態の中で残りの2匹が生れ落ちる。 2体の赤ゆは満面の笑みで挨拶をした。 『『ゆっくちちていっちぇねっ!』』 「ゆっ…!?ゆっぐぢじでいっでねぇえーーっ゛!」 「じでいっでねぇーーーーっ゛!」 赤ゆ達は最高の挨拶をしたハズだった。 親達は滝のように涙を流し、口周りは涎でベトベト。 嬉し涙ならそれで良かった。だが、これは幾分雰囲気が違う。 とても喜んでいる顔には見え無い。 ちょっと不安になる。何かイケナイ事をしてしまったのか? 理由を聞いてみよう。そう思って言葉にしようとした時、 部屋の奥から大きな何かが、こちらに近づいてくる。 すると…、親の形相が鬼へと変貌する。 「ばがぢゃんごろじはゆっぐりじねぇーーっ!」 「どぼじでごんなごどずるのーっ!?」 ある程度、赤ゆは悟った。 自分が嫌われてる訳では無いみたい。この人間さんが悪いらしい。 ばがじゃんって、何…?。そんな事を考えている時に、自分のあんよが地面を離れた。 そのまま空へと体が昇っていく。 「おちょらをとんじぇるみたいっ!」 反射的に口にする。それを言うのが当然かのように。 下を見ると親達が凄く怒っている。 「ゆっ!?ゆっくりはなしてねっ!」 「あかちゃんかえしてねっ!」 何故そんな事を言うのだろうか?自分達が可愛いから、遊んでくれたんだよっ。 隣を見ると妹が、「みゃみゃたちは じゃまちにゃいでねっ!」と親に吼えている。 確かに楽しい。ウキウキする。ゆっくりこの感触を味わいたい。 自分も同じ事を言う為、口を開いたその時…。 妹は笑いながら、人間の大きい口に吸い込まれた。 人間の頬がモゴモゴと動き、そこから苦しげな妹の声が僅かに掠れて耳に届く。 呻き声が途切れた後も、じっくり租借してから喉を鳴らす。 再度、大きく口を開く人間。その中を赤ゆは覗き込む。 口の中に妹が居ない。妹が飲み込まれた事をやっと理解する。 「ゆっ?ゆゆっ!」 恐ろしい。どうしてこんな事をするのか!? それを問いかける時間も与えて貰えない。生温い舌の上に乗せられた。 端目に見える外の世界。それが上下から迫る蓋で閉じられていく。 その後、訪れたのは頭上と顎の下からの激痛。赤ゆは噛まれて真っ二つになった。 「ゆ゛じっ゛!?あ゛ぁあぁぁぁっ゛!」 苦しそうな声など気にせずに、数回租借される。 この赤ゆも、「もっとゆっくちしたきゃったよ。」発言も出来ないまま、短いゆん生を終えた。 妹と同じようにただの餡子の塊となって、喉を通り胃に落ちていく。 親達は大激怒である。 おチビちゃんが全員天に召された。 とってもゆっくりした赤ちゃん達だったのにっ! それも、目の前で全部人間に食われると言う悲劇。なんて事だっ! ギャーギャーと口汚く親達は罵声を吐く。 すると、れいむ達の別荘に皿が置かれる。 その中には美味しそうな食べ物が入れられていた。お詫びのつもりなのだろうか? それを見て、幾分か怒りが収まる。 「あかちゃんいなくなっちゃったよ…。」 「…またゆっくりしたあかちゃんつくろうよ」 まりさはれいむを励ました。 多少元気が出たのか餌を食べ始める。 それを見て満足そうに母は小さく呟く。 「助かるわー。残り物食べさせるだけで喜んでくれるなんて。」 れいむ達は聞こえていない。 美味そうに野菜クズや残飯を平らげていく。 夜7時からの2時間全国放送。体に良い食べ物の特集。 別に珍しくない番組構成だったが、衝撃的な内容が話題を集めた。 朝食に赤ゆっくりだけ口にする。 そうすると中枢餡の作用でなんたらかんたら。 眉唾で嘘臭い構成内容の放送だったが、体験談と学者のデーターで洗脳された視聴者。 次の日から軽いブームが訪れる。 野良と生餌用を口にするのは抵抗があったので、どの家庭でも赤ゆを自家栽培して口にする。 ハーブ感覚で育てられる手軽さが好評のようだ。 れいむ達は餌を食べ終わる。 皿の周りは、食い散らかしの食べ物で汚くなっている。 優秀なゆっくりでは無いらしい。 「ぺーろぺーろするよっ!」 「きれいになったねっ!」 口の周りの食べカスを互いに舐めとった。 それぞれの綺麗になった顔を満足そうに見つめて、肌を擦り合わせる。 「おなかいっぱいだねっ!」 「とってもゆっくりできるねっ!」 「すーり!すーり!」 「すーり!すーり!」 『『ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!』』 『『んほぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ゛!』』 れいむの頭に茎が生えて赤ゆが実る。 ぺにまむタイプの交尾を、お茶の間や台所でやられると流石にキツイ。 お年頃の娘が居る家庭ではなおさらだ。家族の仲に壁か溝が生まれることは確実。 そこで、すりすりタイプのゆっくり栽培用セットが販売された。 この一家も、迷い無くこのセット品を選択。 数ある中から一組のゆっくりを購入する。 れいむ達は、あかちゃんが可愛いから選んだに違いない。と確信していた。 しかし、その考えは誤りだった。 母が早く食べてみたいから、赤ゆが実っているのを指名しただけ。 まぁ、赤ゆで選んだのには間違いは無いだろう。その理由は全く違った内容になるが。 「れいむのあかちゃんとってもゆっくりしているよー~!」 「とってもかわいいんだぜっ!」 幸せな笑顔で、赤ゆっくりに言葉を掛けるれいむ達。 その後、キラキラした目でまりさはれいむにお願いをする。 「ま…まりさもあかちゃんほしいんだぜっ!」 「ゆっ!もっとゆっくりできそうだねっ!」 「れいむーっ!すーり!すーりっ!」 「まりさーっ!すーり!すーりっ!」 『『すーり!すーり!すーりっ!! ゆっ!ゆっ!ゆっ!!』』 『『ん゛っほぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ゛!』』 まりさの帽子を押し上げて茎が伸びて来る。 そして、赤ゆが数体実り出す。 「とってもゆっくりしてるよぉぉぉぉぉっ゛!」 「まりさのあかちゃんゆっくりしていってねぇえぇっ゛!」 れいむ達は歓喜の叫びで、赤ゆ達を祝福する。 それを見ながら母も微笑む。 明日の朝にみんなで食べる量が生えてきて安心したわ。 本当に便利よね。ゆっくりって。 ゆんゆん言いながら嬉しそうに微笑み、 素晴らしい赤ちゃんと過ごす未来に胸を躍らせる 『『はやくあかちゃんとゆっくりしたいねっ!』』 その願いは天に届かない。 明日の朝は、赤ゆ丸齧りパーティー開催予定。 明後日と明々後日の朝も。 パーティーは、ブームが過ぎ去って家族が飽きるまで続けられる事だろう。 「むーしゃむーしゃ幸せーっ!」 「ふむ…。なかなかイケルな。」 「本当に効果あるの?もぐもぐ。」 「あら。テレビの情報だから間違いないわよ。パクパク。」 「ばがぢゃんだべちゃだめぇえぇぇぇぇっ゛!?」 「どぼじでごんなごどずるのぉおぉぉぉぉぉっ゛!?」 終 「れいむとまほうのいた」 「金バッチ品質保障証」 「まりさは優秀な劇団員」 「ぬし」 「スィーらいせんす」 このSSに感想をつける
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「突然申し訳ございません、少々お時間よろしいでしょうか?」 声がしたほうを見るとゆっくりがいた。正確に言えばゆっくりまりさと言われる種類のゆっくりだった。 「…」 飼いゆっくりの中には知能の高いものも多く、人間と同じように挨拶できるものも少なくない。 しかしこのように流暢に言葉を話すゆっくりはいなかったはずだ。 俺は他に今の言葉を発した人間がいるのではないかと思い周囲を見渡した。 「あの、すいません。私です、今喋っているのは目の前にいるゆっくりです」 またもや目の前のまりさが話す。どうやら気のせいではなかったようだ。 「少々聞いていただきたい話があるのですが」 それから数刻後、俺とまりさは俺の部屋にいる。 「こんにちは。ゆっくりしていってくださいね!」 俺の飼いれいむが俺とまりさにお茶を持ってきた。お茶といってもインスタントなのでボタンを押すだけなのだが それだけでもゆっくりにとってはかなり高い知能を有しなければできないことだ。とても利口で可愛い俺のれいむ… 落ち着いたところでまりさは話し始める。 まりさは自分のことを”セブン”と名乗った。セブンの話をまとめるとこうだ。 自分は人間の研究施設によって作られた”高い知能を持つゆっくり”であること。 自分の知能を悪用されることを恐れ研究所を脱走したとのことだった。 「現在、ゆっくりは完全に社会に浸透した存在となっています。 一般的にゆっくり達の知能は低いという認識があるため主要施設の周りをうろついても警戒されません。 人間達この認識を利用して開発されたのが私のように賢いゆっくりなのです。」 「知能が高いのはわかったけど所詮ゆっくりでしょ?盗聴くらいしか使い道ないんじゃないかなあ」 俺のつぶやきにセブンは答える。 「盗聴用ゆっくりは現在でも実用化されているみたいですね。ですが私は違います。」 まりさは帽子の中からおもむろに小型のパソコンとタッチペンを取り出した。 ペンを口に咥え器用にパソコンを操作する。 画面になにやら良くわからない文字の羅列やミサイルの設計図のようなものが現れる。 「これは研究所で開発を命じられた兵器の設計図です。まだ70%程度しか完成してませんが 完成すれば多くの人の命が奪われることになるでしょう。 このように私は人間を遥かに超えた知能を手に入れたのです!」 そう言って俺を見つめるセブン。なんだか急にセブンが俺を見下しているような気がしてきた。 俺の飼いれいむも最初はすぐ側で話を聞いていたが内容が理解できなかったらしく 俺の手によりそってすーりすーりしている。もちもちしたやわらかさが手に伝わる。やっぱりれいむは可愛いな。 「知能の高いゆっくりが増えれば世界は混沌としたものになったでしょう。 私はそれを防ぐため研究所を爆破し逃げることに成功しました。 しかし追っ手が迫っており一人では逃げ切ることができません。そこであなたに私をかくまって欲しいのです。」 「でもなんでセブンは研究所を爆破したんだ?そのまま研究所で働いていればゆっくりに都合のいい世界になったんじゃないのか?」 俺はふと思った疑問をセブンに問いかける。よほど研究所の人間にひどいことでもされたのだろうか? 「私が生まれたのは偶然…いや神の生み出した奇跡と呼ぶべきでしょうか。 神の奇跡は一度で十分。私以外に知能の高いゆっくりなど必要ないのです。」 要するに自分がだけが特別な存在でいたいがために他の可能性を潰したということなのだろう。 これなら復讐のための行動だったほうがまだましだ。 自分の力を悪用されたくないというのも建前で本当は人間の下につきたくないだけなんじゃないのか? 「それに研究所の人間は人間にしては知能が高いですからね。それにゆっくりを道具としか見ていない。 私の思い通りに動かすのは難しいと思ったのですよ。 その点あなたは人間としては平均的な能力のようだし。そのれいむとの関係から察するにゆっくりに対する感情も良いようだ。 どうでしょう、私をかくまっていただけませんか?危険もありますが相当の報酬は約束しますよ。」 やはりこいつは俺を、いや人間を自分より格下の存在と見ているようだ。さてどうしてくれようか… その時俺のれいむがまりさの前に飛び出した。 「ゆゆっ!むずかしいはなしはいいかられいむといっしょにあそぼうよ」 そんなれいむをセブンは冷ややかな目…例えるなら知能に障害のある人間を見下すような視線を送った。 「すいませんが私は大切な話をしているのです。あなたと遊んでいる暇はありません。」 「そんなこといわないでれいむとあそぼーよ。れいむおうたがうたえるんだよ。ゆーゆゆー♪」 れいむは歌を歌いだした。この気まずい雰囲気を察して和ませようとしてくれたのだろう。 れいむは歌のレッスンも受けているので天使のようにきれいな歌声を奏でる。 れいむの歌を聴いたにもかかわらず、セブンは相変わらずれいむを見下した目で見つめながら俺に言った。 「こんな歌や雑用しかできないゆっくりを飼うより私をパートナーにしてみませんか? 私の頭脳と人間の手足が合わさればこの国の経済を支配することも可能ですよ。」 俺はれいむにお茶のおかわりを頼んだ。お茶を入れに別室へ移動するれいむ。 部屋かられいむが消えたのを確認して俺はセブンの体を押さえつけ逃げられないようにする。 「決めたよセブン。どうもお前とはゆっくりできないからゆっくりしてもらうことにするよ。永遠にな。」 セブンは俺の行動と台詞から交渉が失敗したことに気づいたようだ。なんとか助かろうと俺を説得しにかかる。 「私を研究所に売り渡すつもりですか?研究所の味方についてもなんのメリットもありませんよ。 場合によっては秘密を知られたことを危惧しあなた自身の安全を消しにかかるかもしれない。」 「そういうのじゃないんだよなあ。俺はお前が気に入らない、それだけだ 死にたくないのならえらそうな御託はいいから命乞いでもしてみたらどうだ?」 俺はセブン…いやこんな奴ただのまりさでいい。まりさに最後のチャンスを与えた。 「あなたの要求を呑みましょう。ですのでこちらの安全を保障してください」 これで俺の腹は決まった。もしまりさが『ごべん゛な゛ざい゛い゛い゛い゛ま゛り゛ざがわ゛る゛がっ゛だでずう゛う゛う゛う゛う゛』 とでも言って命乞いをしたらそのまま帰してあげたかもしれない。 おれはゆっくりが好きだ。それがたとえ飼いゆっくりでなく畑を荒らすゆっくりでも。 野菜が勝手に生えてくると思う無知さも、人の言うことを簡単に信じる間抜けさも。 いや、そういう知能の低さを愛しているのかもしれない。だが目の前のこいつはどうだ。 知力だけは高いがまったく可愛げがない。 俺はまりさを電子レンジに入れるとそのままスタートボタンを押した。 レンジの中で何かを叫んでいるようだったが良く聞き取れなかった。 「ゆっっ!ごしゅじんさまおまたせ!おちゃをもってきたよ!」 お茶を入れに行っていたれいむが戻ってきた。 「あれ?まりさはどこにいったの?」 「ああ、まりさは急用ができたとかで帰ったよ」 れいむは無いはずの鼻をクンクンとさせる。 「ゆ?なんだかいいにおいがするよ。おりょうりしているの?」 「ああ今焼き饅頭を作っていたんだ。でもあまりおいしくなさそうだかられいむには別のものをあげるよ さっきスーパーでチョコレートを買ってきたんだ。一緒に食べよう。」 「ゆーっ!れいむちょこだいすき!」 チョコが嬉しいのかれいむは俺の周りをひょこひょこ飛び回る。やっぱりれいむは可愛いな。 あのまりさ、知能は高かったかもしれないがそれだけだった。 どんなに知能が高くても所詮手足の無い身のゆっくりでは生き残れない。 生き残れるのはれいむのような利口なゆっくりだろう。俺はそう思った。 ゆっくりはバカだという固定観念を覆してみたかった。でもゆっくりは所詮ゆっくりだった。 まりさは偶然の産物だし研究所ごと資料も消えたので賢いゆっくりは以後作られることは無かったそうです。 過去作 ゆっくり転生(fuku3037.txt~fuku3039.txt) ゆっくりくえすと(fuku3068.txt) ともだち(修正)(fuku3103.txt) ANCO MAX(fuku3178.txt~fuku3179.txt) このSSに感想を付ける
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※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる謎の生物。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎるゆっくり達。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして俺はそんな不思議に満ちた生命体の研究や飼育用の商品の開発に携わっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 現在、俺はゆっくりの条件反射に関する実験を行っている。 実験内容は恐ろしく古典的なものでパブロフの犬そのまんま。 餌を与える前に音を聞かせて、実験体に内蔵された遠隔操作できるライターを点火するときにも音を聞かせる。 この実験で使用するゆっくりは生まれたてのゆっくりれいむの赤ちゃんが4匹。 赤ゆっくりれいむAには餌を与えるときにも、点火する時にも何の前触れもなしにいきなりそれらの処置を施す。 赤ゆっくりれいむBには餌を与えるときには何の音も聞かせず、点火するときにだけ録音した親の「ゆっくりしていってね!」という鳴き声を聞かせる。 赤ゆっくりれいむCには餌を与えるときに「ゆっくりしていってね!」という録音した親の鳴き声を聞かせ、点火するときには何の前触れもなし。 赤ゆっくりれいむDには餌を与えるときにも、点火するときにも事前に親の鳴き声を聞かせる。 つまり、「ゆっくりしていってね!」という音声に対して条件付けを行うのがこの実験の目的だ。 【実験開始】 赤れいむA 「ゆ~ゆゆ~、ゆぎゃっ!?」 仲間こそ居ないが遊具は十分に用意されている実験用のマジックミラーケージの中で機嫌良く遊んでいた赤れいむは俺が思いつきで点火した瞬間に短く悲鳴を上げた。 「ゆっぎゅりいいいいいい!ゆっぎゅりいいいいい!!」 突然、内側を火であぶられた赤れいむAの表情は苦痛と恐怖に歪んでいる。 「ゆううううう!ゆうううううう!」 大きな声で泣きじゃくり、跳ね回って助けを求めるが誰も助けになど来るはずがない。 「ゆううううう!ゆううう・・・」 痛みが引いたのか、それとも諦めたのかは定かではないし、この実験の趣旨とは関係がないので気にするつもりもないが、やがて泣くのを止めて再び遊び始めた。 しかし、親ゆっくりサイズのやわらかいボールに頬ずりしたり、滑り台から滑り降りたり、トランポリンに乗って跳ねたりしている様子に点火される前のような活発さはない。 「ゆー・・・ゆー・・・」 そんな見ているほうが虚しくなるような現実逃避じみた行動でも、30分も続けていれば遊びの楽しさが恐怖や孤独を慰めてくれるらしい。 「ゆ~、ゆ~ゆゆゆ~♪」 気がつけば内部を焼かれる前の元気さを取り戻していた。 それから1時間ほど1匹で遊んでいる赤れいむAを観察し、餌を与えてやる。 「ゆ!ゆっくり~!」 すると、お腹の空いていた赤れいむAは早速餌に飛びついた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 目に涙をためながら、本当に嬉しそうに餌を食べている。このタイミングで点火しようかと考えたが、変な条件付けが成立して食事をしなくなると都合が悪いので、それは次の食事に回すことにした。 10分ほどで餌を食べきった赤れいむAはしばらくその場でゆっくりしていたが、やがて眠くなったのかウトウトと舟をこぎ始めた。 そして、気がつけば「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」と可愛らしい寝息を立てている。 が、食後の安眠は突然の痛みによって終わりを告げることになった。 「ゆうううううううう!?」 幸福を打ち砕く2度目の点火。唐突かつ理不尽な痛みに赤れいむAは思わず飛び跳ね、床を転げ回った。 「ゆぎゅううううううううう!ゆぎゅううううううううう!」 それから、さっきと同じようにじっと観察する。 「ゆぎゅううううううう!ゆうううううう!!ゆぅううう・・・」 先ほどより大分早く痛みから立ち直った赤れいむAは再び眠ろうとするが、なかなか寝付けない様子ですぐに目を覚ましてはぶらぶらとそこらじゅうを歩き回っていた。 恐らく、眠っているときにまた点火されることを恐れているのだろう。 幼い身で頼るものもいないたった1匹の世界に放り込まれた孤独なゆっくり。その様子を見かねた俺はケージの中に甘いチョコレートを放り込んだ。 「ゆぅ?・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 赤れいむAは本当に幸せそうに口元が汚れるの気にせずチョコレートを頬張る。 その表情を眺めながら、俺は3度目の点火を試みた。 赤れいむB 赤れいむBはすやすやと寝息を立てていた。しかし、そのことは実験に何の影響も及ぼさない。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりしちぇっちぇね!」 何故なら、ゆっくりにはこの言葉を聞かされると反射的に返事をしてしまうからだ。 その行動は本能の領域に突入しており、食事中でも、睡眠中でも、交尾中でも反応してしまう。 「・・・?・・・ゆぅ?」 突然響き渡った声の主を探す赤れいむB。その様子を確認したところですぐさま点火する。 「ゆぎょおおおおおおおおおおお!?」 さっきの赤れいむA同様に痛みで悶絶する赤れいむB。目からは涙がぼろぼろと零れ落ちていた。 「ゆうううううう!ゆうううううううう!!」 これまたさっきの赤れいむAと同じように転げまわりながら助けを求めるが、当然のように誰も助けてはくれない。 その光景を俺は無感動に眺めていた。 不思議とさっきほどの罪悪感も同情の念も湧き上がってこない。 「ゆっぎゅちいいいい・・・ゆうう・・・」 これまたさっきの赤れいむAと同じように落ち着き始めると、せわしなくそこらじゅうを歩き始めた。 「ゆー、ゆー・・・」 しかし、この実験は条件付けをするためのものだ。落ち着いてきた頃合いを見計らって、再びあの音声を再生する。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!」 音声に対して反射的に返事したれいむが再び声の主を探そうときょろきょろ首を振り始める。 「ゆっぎゅぢいいいいいいいいい!ゆぎいいいいいいいい!」 それからきっちり5秒後、躊躇うことなく2度目の点火を行った。 「ゆっぎゅぢいいいいい!ゆぎぃいいいいいいい・・・・・・」 俺は淡々と観察を続ける。やはり、赤れいむA同様に2度目のほうが立ち直りが早かった。 たった2例に過ぎない。しかし、一度目は誰かの助けを期待していて、二度目はその期待がない立ち直りが早かったのだと思う。 次のCとDでは点火時間を調整して、一方がより大きな痛みでも同様の結果を得られるのか確認すべきだろう。 「ゆっぐ・・・ゆっぎゅりいいいいいい・・・」 そんなことを考えている間に赤れいむBは痛みから立ち直った。もっとも、まだ呼吸は荒いが。 呼吸が整い、落ち着くのを待って今度は何の前触れも無しに餌を与える。 その匂いをかぎつけた赤れいむBはすぐさま餌に飛びついた。 「ゆ!ゆ~!・・・・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあちぇ~!」 赤れいむAもそうだったが、本当に幸せそうに餌を食べている。食べ方が少々意地汚いが、それもまた愛嬌なのではないだろうか? 「ゆ!ゆっくり~!ゆゆゆ~~♪」 そうしてお腹の膨れた赤れいむBは楽しそうに歌い始めた。 俺はその決して上手くない歌にゆっくりと聞き惚れ、それが終わると同時にあの音声を流した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆうううう!?」 3度目の正体不明の声。赤れいむBが声の主を探すよりも先に怯えだしたことを確認した俺は、5秒後に3度目の点火をし、次のケージに向かった。 赤れいむC 赤れいむCはケージの中で楽しそうに跳ね回っている。子ゆっくりサイズのボールがお気に入りらしく、その上に飛び乗っては、滑り落ちてを繰り返していた。 「ゆっゆゆ~♪ゆ~ん!ゆーっ!」 ポヨンっとボールに体当たりを仕掛けてはプニッと地面に着地する。実に可愛らしい。 俺は赤れいむCが跳躍した直後を見計らって、いきなり内蔵ライターを点火した。 「ゆっぎゅうううああああああああ!うううう!!ゆぎゃっ!?」 空中で突然の痛みに襲われた赤れいむCはボールにぶつかり、反動で弾き飛ばされて地面に叩きつけられた。 「ゆぎょううううううう・・・!ゆぎゅあああああ・・・!」 今までの赤れいむ2匹と違って床に叩きつけられた分のダメージがあるせいか、少しだけ口から餡子を吐き出してしまった。 しかし、致命傷には程遠いらしく、元気に地面をのたうち回っている。 「ゆううううう・・・ゆうううううううううう・・・」 それでもさっきの赤れいむたちと男歩同じくらいの時間であっさりと立ち直った。 「ゆぅ・・・」 とは言え、さすがに餡子を吐き出した分でぐったりしている。 このままでは次の点火の際に面倒なことになるかもしれないので、もう一つの実験も兼ねて例の音声を鳴らす。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 出所不明の声に困惑している赤れいむCのそばにさっと餌を落とす。 「ゆ・・・!む~ちゃ・・・むーちゃ・・・」 やはり吐血、もとい吐餡の分が効いているのだろうか。他の赤れいむより目に見えて食事のスピードが遅い。 「む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~!」 それでも回復力が売りのゆっくりだ。存分に食事を堪能し終えたころには点火によって受けたダメージはすっかり消えてしまっていた。 そして、傷の癒えた赤れいむCは何をするでもなく地面に寝そべってごろごろと転がり始めた。 そこですかさず2度目の点火。非常にゆっくりしていた赤れいむCは突然の熱と痛みで飛び上がる。 「ゆうううううう!」 そして、これで6度目になる変わり映えのしない苦しむ姿を俺の前に晒した。 唯一つだけ違うことがあるとすれば、他の赤れいむたちの時にはすでに消えていたライターの炎が今もなお萌え続けていることくらいだろうか。 「ゆ゛き゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 ざっと今までの3倍の点火時間。先ほどの点火とは比べ物にならないダメージを受けた赤れいむCは白目を剥いて床を転げまわっている。 口からは餡子と泡を吹き体中から妙に粘着質な液体が分泌されている。恐らく脂汗みたいなものだろう。 どうやらダメージが大きすぎたらしく、ぴくぴくと痙攣している。さすがに死なせるとあとあと問題になるので、蘇生のためにこっそりとオレンジジュースを飲ませた。 「ゆぅ・・・?う!?ゆっぎゅぢいいいいいい!」 意識は取り戻したがそれでもやはりまだ痛いらしい。またしても悲鳴を上げながら転がっている。 しかし、そのうち回復することは明らかなので赤れいむCの苦悶なんてお構いなしに再びあの音声を再生した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆきぃいいいいい・・・!」 声の出所を探す余裕はさすがにないらしい。再び痛がりながら涙を流す。 が、餌を置くとのろのろと起き上がると、餌の元へと向かっていき、むしゃむしゃと食べ始めた。 「む~ちゃ、む~ちゃ・・・む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~!」 ようやく食べ終わり、元気を取り戻したところで、もう一度あの音声を再生する。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!」 その言葉の直後に誰かを探すのではなく、モノ欲しそうに辺りを見回す赤れいむCの姿が確認できた。 適当なお菓子をケージの中に放り込んで、赤れいむDのケージへと向かっていった。 赤れいむD このケージの中の赤れいむDに関してはとにかく『ゆっくりしていってね!』を聞かせなければ始まらない。 よって俺はそのケージの前に来た瞬間に中の赤れいむDの様子を確認することもせずに例の音声を再生させた。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 ここまではほかの赤れいむと全く同じ展開だ。しかし、この後の展開はやや違う。 赤れいむDが返事してから5秒後に点火。ただし、通常の2倍の時間点火し続ける。 これ以上やりすぎると赤れいむCのときのように致命傷を与えかねないので、あくまで2倍程度に収めておいた。 「ゆぎゅいいいいいいいいいいいいいい!ゆぐうううううう!」 とはいえ、幼い身には十分すぎるダメージなのだろう。白目を剥いて必死に跳ね回っている。 「ゆぎょおおおおおおお!ゆぎょおおおおおおおおおおお!」 目からは涙がぼろぼろ零れ落ち、我を忘れて叫んでいるため口からは涎が垂れ流しになっている。 その様子を落ち着くまで観察し続ける。 落ち着くまでの時間は最初の2匹より若干長いような気もしたが、誤差の範囲内といった程度。 落ち着きくと、他の赤れいむ同様に弱りながらも逃避行動的な遊戯を始める。 滑り台で遊んだり、ボールとじゃれたりしているうちに徐々に心身ともに充実してきたらしく、やがて元気になった。 そこで二度目になる音声を聞かせる。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 またしても声の出所をきょろきょろと探している赤れいむDの近くにチョコレートを置く。 「ゆゆっ!ゆ~っ!」 これまた他の赤れいむと同じような反応を示し、元気良くチョコレートに飛びついた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 と、ここですかさず3度目の音声。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 5秒ほど赤れいむDが声の出所を探している様子を観察したところで2度目の点火。 「ゆぎぃいいいいいいいいいいいいい!ゆううううううううううう!」 どうやら白目を剥くのは危険信号だったらしい。他の赤れいむたちと同じ時間の点火ではその兆候は見られなかった。 と言っても、当然痛いものは痛いわけで。赤れいむDは呻きながら床を転げまわっている。 しかし、これまた他のゆっくりと大差ない時間で痛みから立ち直り、また遊び始めた。 立て込んでいるのでさっさと4回目。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆっ!?」 赤れいむDは明らかに警戒していた。怯えきった表情であたりの様子をせわしなく伺っている。 そうして警戒しているうちに俺が置いたお菓子の存在に気付き、元気良く食べ始めた。 で、食べ終えたところで5回目の音声再生。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅぅ?」 赤れいむDは喜ぶでもなく怯えるでもなく、その音にどういう意味づけをして良いのか分からず困惑していた。 それは他の赤れいむでは見られなかった反応だ。 俺はとっとと3度目の点火を行って、その場を後にした。 【1週間後】 赤れいむA いつ何時点火されるか分からない赤れいむAは他の赤れいむとは比較にならないほど衰弱していた。 点火回数は他の赤れいむと殆ど一緒だから肉体的にはさして他と変わりないはずなのだが、やはり常に痛みに怯えなければならない生活が堪えたのだろう。 しかし、それ以上に面白い発見があった。不思議なことに赤れいむAは滑り台を使わないどころか使おうともしないのだ。 理由は2度ほど滑り台で遊んでいるときに点火されたことがあるから。自分の中で勝手に条件付けを行っているらしい。 「ゆっきゅちーゆっきゅちー・・・」 弱々しく鳴きながらずるずると地べたを這いずる赤れいむA。 跳ねないのは跳ねているときに点火されて大怪我をしたことがあるからだ。 「ゆっきゅちちちゃいよー・・・」 虚勢を張って「ゆっくり」と鳴いていてもゆっくり出来ていないことは重々承知しているのだろう。 時々そんな悲しげな声が漏れる。 しかし、この赤れいむがゆっくりできる日は永遠に来ないだろう。 寝るときには、いつ痛みに襲われるか分からない恐怖で眠りが浅くなる。 食べるときも、食事中に点火されて窒息しかけた経験から急いで食べ物をかき込み、食べているときに点火された食材には怖くて口がつけられない。 遊ぶときにも、痛みを恐れで元気いっぱい跳ね回ることも滑り台で遊ぶことも、ボールと喧嘩することもできない。 ・・・いつ痛みに襲われるかわからないことを学習してしまった赤れいむには自由と余裕がなかった。 「ゆっぐ・・・ゆぅううううう・・・」 そして、何の前触れもなしに泣き出す。赤れいむAは情緒不安定になってしまったようだ。 赤れいむB 「ゆー!」 赤れいむBは殆ど鳴かなくなった。 少なくとも「ゆっくり」という言葉をあの音声が再生されたとき以外に口にすることはなくなっていた。 点火の際の痛みが「ゆっくりしていってね!」の直後に来ることを学習した結果だろう。 「ゆぅ!ゆぅ!」 しかし、それ以外の点では到って元気であった。 ボールにタックルして跳ね飛ばされたり、勢い良く滑り台から滑り降りてそのまま転がって行ったりと非常に楽しそうに遊んでいる。 表情も満面の笑みといった感じで、本当に楽しそうだ。 しかし、例の音声を再生すると・・・ 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちていってね!・・・ゆぎいいいいいいいい!!?」 点火される前から気が狂ったんじゃないかと思ってしまうほど怯え始めてしまった。 きっと、赤れいむBは群れの中に放り込んだら“ゆっくりできないこ”として爪弾きに遭うだろう。 赤れいむC 「ゆっくりしていってね!」 赤れいむCはその鳴き声をきっちりと習得していた。 この子の中では例の音声は美味しい餌やお菓子と結びついているのだから当然だろう。 「ゆっくり~!ゆっくり~!」 が、その元気さのわりには動きは非常に慎重で、あまり跳ねることをしない。 恐らく赤れいむAと同じように、いつやってくるか分からない痛みに警戒しているのだろう。 「ゆっくりしていってね!」 元気良く鳴きながら自分より一回りだけ大きいボールに頬ずりして遊んでいる。 もちろんどんなに元気な声を出していても跳ね回ったりする様子は一切見せない。 「ゆっくり!ゆっくち!」 それでもこんな風に元気でいられるのは「ゆっくりしていってね!」という言葉を心の支えにしているからだろうか? もっともそれはある種の信仰に近いものであり、そんな高度な精神活動をゆっくりがするのかは少々疑わしいところだが。 そんなことを考えながら音声を再生した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆう~♪」 赤れいむCはその言葉が聞こえた瞬間、本当に嬉しそうに飛び跳ねた。 赤れいむD 赤れいむDには少し変わった変化が見られた。 「ゆっくりしていってね!」という鳴き声をきちんと習得したという点は赤れいむCと変わらない。 しかし、その言葉を聞かされた時の反応が全く違っていた。 『ゆっくりしていってね!』という音声を聞かされた赤れいむDはその場でじっと固まって動かなくなる。 そして点火された場合、その直前にしていた行為をあまりしないようになる。 逆に餌を与えられた場合にはその直前にしていた行動を積極的に行うようになった。 つまり、音声を自分自身に注意を促すものとして認識したが、餌とも痛みとも結びつかなかったということだ。 そして点火された場合は自分が悪いことをしたから痛い目にあっていると考え、餌を与えられたときには良いことをしたと考えているらしい。 だから、あまり美味しくない餌を吐き捨てたときにあの音声を再生してみた。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆ!」 その表情にはゆっくりらしからぬに緊張感があった。 3秒ほど様子を伺ってから、お仕置きの意味合いも兼ねて点火する。 「ゆぎゅううううううううううううう!ゆううううううううう!」 しばし苦しそうに転げまわるが散々味わって来た痛みであり、実験開始時よりは大分大きくなっていることもあってすぐに立ち直ると、むしゃむしゃとさっき吐き捨てた餌を食べ始めた。 【追加実験】 実験で使用した4匹を母親のいるケージに放り込んでみました。 「ゆ!れいむのあかちゃん!ゆっっくりしていってね!」 母れいむは1週間経ってなお赤れいむたちのことを気にかけていたらしく、非常に嬉しそうに挨拶をした。 「ゆっくちちちぇっちぇね!」 一度たりともその挨拶を聞いたことのない赤れいむAは舌足らずながらも本能に従って元気良く返事した。 「ゆっくちしていってね!・・・ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!」 赤れいむBは母れいむから遠ざかり、ケージの隅で震えていた。 「ゆっくりしていってね!・・・ゆううう~!むしゃ!」 赤れいむCは満面の笑みを浮かべて母れいむに噛み付いた。 「ゆっくりしていってね!・・・ゆ!」 赤れいむDはキリッとした表情で固まっていた。 とりあえず、全員の内蔵ライターを点火しておいた。 【報告】 赤れいむDを見る限り、最も人間に従順なペットとしてゆっくりを調教するためにはとにかく痛めつけることが重要だと言えるでしょう。 ---あとがき--- この実験は点火なしで餌だけを与えて条件付けを試みないとあんまり意味がありません。 あと、特定の行動をしたときにだけ点火する形での悪戯に対する条件付けも行わないと意味がありません。 まあ、ノリだけで考えたアホ実験なので細かいところは気にしないでください。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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「ゆっくりしていってね!!!」 目の前にゆっくりの一家がいた。 ゆっくり。 人語を解するが知能の低い、生きる饅頭。 その餡子は甘く、非常に美味であることから老若男女に人気のある食べ物だ。 しかし、畑を荒らすこともあり農業を営む者からは疎まれている存在である。 また、家に不法進入をしてきたり、その大きな声による騒音被害もあることから人間の里では害獣に指定されている。 「ゆ?ゆっくりしていってね!!!」 俺が何も返事をしないことを不思議がったのか、同じセリフを繰り返すゆっくり達。 大きいゆっくり霊夢が一匹と、小さなゆっくり霊夢が4匹。 大きいものはバスケットボールほど、小さいものはソフトボールくらいであった。 片親のようだ。 「君達は家族かい?お母さんは大きいれいむだけ?」 「ゆ!みんなれいむのあかちゃんだよ!!すごくゆっくりしたいい子達だよ!」 大きな霊夢、親れいむの話では、交尾した後すぐにもう1匹の親のゆっくり魔理沙は出ていったという。 自身と同じゆっくり魔理沙が生まれなかったためらしい。 なんというやり逃げ。 「れいむたちはゆっくりするよ!おにいさんもゆっくりしていってね!!」 俺が何も食べ物を恵んでやらなかったせいだろうか、興味を失った親れいむは野原でゆっくりし始めた。 俺もゆっくり霊夢なぞに興味はない。 ヘタに関わって付きまとわれたくないので家に帰ろう、と思った矢先、いいことを思いついた。 「なあお前ら、俺の家はここよりもっとゆっくりできるぞ。こないか?」 そして今、俺の家にはゆっくり一家がいる。 「ゆゆ!おにいさん早く食べ物を出してね!こどもたちがお腹すいてるよ!」 「ゆー!おにいさんはやくゆっくちさせてね!!」 「ゆっくち!ゆっくち!!」 当然、ゆっくりさせる気など毛頭ない。 俺は子れいむを2匹ずつペアにして、少し離したところに移動させた。 「ゆ?れいむの子供になにをするの?」 取り残された親れいむが不思議そうな顔をする。 もう用済みだから殺してもいいのだが、特に悪さもしていないゆっくりだったので生かしてあげよう。 それが生き地獄だとしても。 「お母さんれいむはどっちかの子供のほうに移動してね」 「どうしてなの?みんな一緒でゆっくりしたいよ!!」 「ご飯の前にはお風呂に入らないと。一度に5匹は大変だから2回に分けようと思ってね。先に入るほうと後に入るほうでわかれてね」 「ゆ!おふろ!れいむさきにはいりたい!!!」 「ずるい!れいむがさきだよ!!」 「おにいさんれいむたちをさきにして!!」 「そんなわけだから、お母さんれいむ、どっちかに移動してね」 そういうと、親れいむは特に不審に思うこともなく比較的近くだった子れいむの班へと移動した。 これが向こうの子れいむ達との今生のお別れだとも知らずに。 「よーし、じゃあお母さんがいなくても大丈夫なこっちのれいむたちからお風呂だよ!」 親れいむがいないことで少し不満がっていたので、おだててあげる。 単純な頭なのですぐにきゃっきゃと喜び始めた。 軽い体を持ち上げて、俺は奥へと歩きだす。 「わあ!おそらをとんでいるみたい!!!」 「すごくたかいよ!!」 もう生涯見ることのない外の世界を楽しんでいるようだった。 「じゃあここで永遠にゆっくりしていってね」 ここはお風呂場ではなく、台所。 そこに置いてあった鉄の箱に2匹の子れいむを投げ入れた。 「ゆ?おふろは?」 「ここはゆっくちできないよ!」 2匹の子れいむを入れてもあと5匹は入れるくらいスペースが余っていたので、あまり緊迫感がないようだ。 透明な箱ではないので、閉めると中の様子が見えないのだが、今回は好都合だ。 俺は子れいむ達の質問を無視して蓋を閉めた。 中から「ゆっくりあけて!」だの「暗くてゆっくりできない」といったことがかすかに聞こえるくらいだ。 鉄製だけあって、蓋を閉めるとあまり声は届かないみたいだ 俺は居間に戻り、残りの3匹達をさっきの2匹とは別のところに持っていく。 「ゆ?お兄さんここは何?」 「ここはお兄さんの家のお庭だよ」 つれてきたのは中庭。 塀で囲まれており、家の中からじゃないと入ることができない庭だ。 夏まっさかりの今日、中庭は背の高くなった雑草が生い茂りジャングルのようになっている。 「じゃあここで死ぬまでゆっくりしていってね」 ぽーん、と中庭に3匹のゆっくりを投げ込む。 「ゆ!?お兄さんお風呂はどうしたの!?こんなところじゃゆっくりできないよ!!」 「いちゃい!!ゆっくちさせて!!」 「ゆぅうう・・」 着地に失敗した子れいむ2匹が涙目になっていた。 「お風呂はないよ。君達はここで永遠にゆっくりするんだよ」 親れいむが俺に体当たりをしてきたので、全力で蹴り返す。 餡子を撒き散らしながら塀にたたきつけられ、そのまま動かなくなった。 「あら、死んじゃった?まあゆっくりしてけよ」 中庭唯一の入り口を閉じ、俺はその場を後にした。 夕方。 晩御飯の支度を終えた俺の足元には、先ほど子れいむ2匹をつめこんだ鉄の箱がある。 いよいよこれの出番がやってくる。 これは一言で言うなら、ゆっくりコンポストだ。 使用方法はとても簡単。 調理を終えた流し台の三角コーナーには、野菜のいらない部分や割れた卵などが入っている。 これを箱の中にいる子れいむ達に食べて処分してもらおうというものだ。 蓋を開けるとノンキに眠っている子れいむ達がいた。 「れいむ、ご飯を用意したよー!」 ご飯、その単語にピクリと反応し、すぐに目を覚ます子れいむ。 「ゆ!おにいさんはやくここからだしてね!ごはんもだしてね!!」 「おかあさんはどこなの!?はやくあわせてね!!」 お怒りのようだ。 しかし俺はこんなコンポスト達の相手をしているほどヒマではない。 子れいむに振り掛けるように生ゴミを入れた。 「それが君達のご飯だよ。これからずっとだよ。ちゃんと処分してね」 生ゴミにびっくりして何も喋らなかったのでそのまま蓋を閉めた。 ゆーとかやーとか騒いでいるが、さすが鉄製の箱だけあって3メートルも離れたら何も聞こえなくなった。 次の日、朝ごはんの用意で出た生ゴミを捨てようと蓋を開けると、昨日のままの生ゴミがそこにあった。 「ゆ!おにいさんれいむたちこんなのたべられないよ!!はやくだしt」 言い終わらないうちに生ゴミを捨て、蓋を閉める。 働かないコンポストの相手なんてしないものだ。 中庭に回ると、入り口の目の前で3匹が眠っていた。 親れいむは顔がぐちゃぐちゃに歪み、皮はずたぼろ、ところどころ餡子が飛び出しているが生きてはいるようだ。 こいつらは放っておけば勝手に働くだろうから、俺は放置して外に遊びに出かけた。 帰宅する頃にはもう夕方になっていた。 急いで夕飯の用意をし、生ゴミを捨てるためにコンポストの蓋を開ける。 すると、そこには子れいむ2匹の姿以外、特に何も無かった。 昨日と今朝の生ゴミは綺麗サッパリ消えていた。 さすがに育ち盛りの子れいむ達は、食欲に勝てなかったのだろう。 それに生ゴミと言っても、調理後すぐのものであったから腐ってはいなかったはずだ。 「よお、結局食べたんだな。おかわりを用意してやったぞ」 また振り返るように生ゴミをぶちまけ、四の五の言う前に蓋を閉めた。 ちらっと見た感じ、2匹はぼろぼろと泣いていた様子だった。 いきなり閉じ込められてゴミを食べさせられるのだから、その心境は分からないでもない。 どこからか、家に体当たりをするような音が一晩中聞こえていたが、俺はぐっすりと眠ることができた。 「おはよう。ゆっくりしているかい」 朝一番に中庭を訪れると、小さいながらもぷくっと膨れて威嚇する2匹の子れいむと、汚らしい皮の親れいむが待っていた。 「ゆ!おにいさんはやくここからだしてね!!れいむおなかすいたよ!!」 「おにいさんはゆっくりできないひとだよ!!ゆっくりしね!!」 「ぼべべびゅびゅっぼぼぼ!!!」 餡子を撒き散らしながら話す親れいむの言葉は理解できなかったが、とりあえず怒っているということだけは分かった。 子れいむを手にとると、若干痩せた感じがした。 「みんなはもう草刈りの道具だよ。早く草を食べてね!ご飯はそれだけだよ!」 こちらの班は、草刈りを目的としている。 草まみれの庭に放てば、食うものがなくなったゆっくり達は草を食べてくれるだろう。 育ち盛りの子れいむ2匹と、大きな親れいむがいれば、すぐに庭は綺麗になるはずだ。 「やだよ!!れいむ、にがいくさはきらいだよ!!」 「れいむもやだよ!はやくおいしいごはんをよういしてね!!!」 「ぶびっ!!!」 餡子が飛ぶ。汚いなあ。 「草を食べたくなかったら食べなくてもいいよ。お腹すいて死んじゃうだろうけどね」 その前に親れいむは出餡子多量で死にそうだが。 その後もゆーゆー文句を垂れる子れいむ達を置き去りにし、俺は扉を閉じた。 それから、3週間が経った。 ゆっくりコンポストはきちんと働いていた。 開始1週間ほどしたときに、子れいむ達がボイコットをしたこともあった。 生ゴミ以外の食べ物をくれ、くれるまで生ゴミの処理はしない、と。 俺は気にせず毎食ごとに生ゴミを投げ入れた。 2日もすると夏の暑さで溜まった生ゴミは腐臭を出し始め、どこに鼻があるのかもわからないのに子ゆっくりは悪臭に涙していた。 くさいくさいと涙ながらに許しを請う子れいむ達に、俺は一言、早く処分しろとだけ告げて蓋を閉じた。 次に蓋を開いたときには生ゴミは全て消えていた。 真っ青な顔をした子れいむ達を見れば、腐った生ゴミの処分がいかに大変かがよく分かった。 それ以来、腐らせることを極端に恐れ、生ゴミを入れるとすぐに食べるようになってくれた。 今、3週間前にうっかり捨てるのを忘れていたお弁当を、子れいむ達が必死で処分してくれている。 たまに嘔吐し、戻すこともある。 しかし、結局自分で処理しなければならないのだから一度で済ませばいいのに、と俺は思う。 これからも生ゴミの処理をよろしくね、そういい残し、俺は蓋を閉じた。 中から泣き声が聞こえたのは多分、気のせいだろう。 中庭も綺麗になった。 それこそ、最初の頃はニガイだの不味いだの文句たらたらだったが、いつしか諦めて黙々と食べるようになった。 そもそも野生のゆっくりは草や虫が主食なのだ。 何も問題はない。 それにコンポスト組に比べれば広い庭もあるし、子れいむにとっては親れいむもいるのだから幸せだろう。 それに家族だって増えている。 3匹では草が思うように減らないと感じ、おれはゆっくりアリスを加工所からレンタルし、強制的に交尾をさせ続けた。 そしてあっという間に3匹だった草刈り組は30匹へと増員された。 最近は近所で草刈りのアルバイトを始めた。 縄でつなぎ、リボンを人質にとって連日不味い草を食べさせている。 赤ちゃんゆっくりがわがままを言って草を食べない時は、見せしめに親や姉妹の前で皮を引き裂いた。 飛び散った餡子を食べさせると共食いを覚えてしまいそうだったので、一切食べさせることはしなかったが。 今日の出勤場所は、3丁目の田中さんの家だ。 リボンのない30匹のゆっくり霊夢を縄で繋ぐと、俺は家を後にした。 作:アルコールランプ このSSに感想を付ける
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「ゆっくり」という生き物なのか食い物なのかよくわからん存在をご存知だろうか? 大抵の生き物は食い物にもなるだろう、とかそういう生易しい問題じゃないんだ。 姿かたちを端的に説明すると人間の頭部だけ独立して動いているような感じだ。しかも、何故か幻想郷の有名人の顔にそっくりだったりする。 こいつらは中身が饅頭なのに何故か喋ったり、飛び跳ねたりとフリーダムに生きているんだ。 そいつらが最近幻想郷で大量発生したことは有名な話で、畑を荒らしたり、人様の家に勝手に上がりこむことから一時は害獣扱いされて、無条件に駆逐の対象にされていたんだが、 こういう気色の悪い生き物を可愛がる虫愛づる姫君よろしくの物好きがいたり、こいつらが意外に美味であることが明らかになったり、ストレス解消に便利だったりといろんな用途が発見されたことで最近では益獣扱いされている。 こいつらの生態については前もって説明しようとすると冗長になるから、必要なときに必要なことだけを話していく事にするとして・・・とりあえず、自己紹介をさせてもらう。 俺は幻想郷で1,2を争うといっても過言ではないゆっくり愛好家だ。名前なんて気にする必要はない。 俺がどのくらいゆっくり好きかというと・・・ちょっと長くなるがのろけ話に付き合うつもりで聞いて行ってくれ。 まず西に虐待で潰されたゆっくり霊夢がいれば死体を回収しに行く。 ちなみにゆっくり霊夢ってのは黒髪と赤いリボンが目立つ博麗神社の巫女さんそっくりのゆっくりのことで、非常に頭数の多い種でもある。 え、虐待をやめさせないのか? そんな事するはずがない。そんな事したらストレス解消って存在意義を失って、また害獣として駆逐されてしまうじゃないか。 だから、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸せのために虐待を黙認しているんだよ。まあ、皆ゆっくりが好きだから大抵の場合、ちょっと愛のムチが過ぎただけなんだけどな。 たまに運悪く死にきれなかったゆっくりがいたら可哀そうだからきっちりと楽にしてやることも忘れないぞ? 東に餓えたゆっくり魔理沙がいればさっき回収した肉片を食べさせてあげる。 ゆっくり魔理沙は黒い三角帽子を被ったゆっくりで、数が多い上にふてぶてしくて腹黒くて、人里では一番嫌われている種だったりする。 共食いさせるなんて残酷だ? そんな事はないんだな、これが。こいつらは知能が低いから共食いであることに気付かない。 それに仲間の血となり肉と・・・じゃなかった。餡子となり皮となれるなら死んだゆっくりだって本望ってもんだろ? そういうわけで、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸福のためにゆっくりにゆっくりの死体を食べさせるんだ。死体じゃなくて残飯って言ったほうが適切かもしれないけどな。 北に交尾中のゆっくりアリスがいれば引っぺがして俺が代わりに最後まで犯ってあげる。 ゆっくりアリスってのはとにかく年中盛り付いている淫乱ゆっくりで、ゆっくりを増やすためだけにいるような存在だ。ちなみに何故かゆっくり魔理沙を好んで襲う。 何、わけが分からない? そういや言ってなかったっけ?ゆっくりは交尾の後の出産で命を落とすことが多いんだ。でも、産みの苦しみを味わいながら死ぬなんて可哀そうだろう? でも、俺が代わりにイかしてあげれば、すっきり出来るし、何より死ぬこともない。 たまに俺のイチモツで餡子をかき回されるのが気持ちよ過ぎたのか、そのまま逝ってしまう奴もいるけど、快感に包まれて死ねるんなら本望に違いない。 南に生まれたてのゆっくりぱちゅりーがいればすぐさま保護してしかるべき場所に預けてあげる。 自然の中で生まれたものは自然の中で生かすのが一番じゃないか? いやいや、こいつらは饅頭みたいなものだし、食欲をそそる匂いを発するくせに他の動物に対抗する武器を全く持っていないんだ。 つまり野生のままだとひたすらハンティングされる側ってことだ。それはあまりにも可哀そうだろ? 特にこのゆっくりぱちゅりーは体が弱くて、野生だとわずかな運動やストレスで死に至ることもあるから他の種以上にしっかり保護してやらなくちゃならない。 だから、加工所や稗田様のところに預けて保護してもらうのさ。そうすれば野性よりもずっと長く、安全に生きられるだろ? まあ、稗田様のところに預けたゆっくりの様子を見たことはないが、あの方のことだからきっと俺に負けず劣らずの可愛がりっぷりに違いない。 と、これだけ話せば俺がどれだけゆっくりのことが好きか分かってもらえたと思う。 でも、俺ののろけ話は108まであるんだ。つまり、まだまだ始まったばかりだ。 ・・・・・・とは言え、さすがに見ず知らずの相手に108もののろけ話を聞かせるわけにもいかないから、一つだけ取っておきの奴を聞いていってほしい。 のろけ話であると同時に自慢話でもあるんだが、実は最近オリジナルのゆっくり飼育グッズで特許を取ったんだよ。 幻想郷に特許なんて概念があるのか?なんて細かいことは気にしないでくれ。 その特許商品ってのはハムスターボールっていうハムスターを屋内で散歩させるための道具から着想を得たもので、ゆっくりボールって名前のプラスチックの球なんだ。 使い方は簡単、出産間近のゆっくりのそばでこのボールを用意して待機、子ゆっくりが生まれた瞬間にそのボールの中に閉じ込めるんだ。 ちなみにボールのサイズは生まれたてのゆっくりの平均的なサイズに合わせてある。勿論空気穴もストローが通るくらいのを14箇所ほど空けてある。 あ、そうそう・・・ゆっくりの産まれ方には果実みたいに親から生えた茎になるタイプと卵生タイプ、妊娠タイプの三種類があるが、どのタイプで産まれるにしても捕獲できるようになったら出来るだけすぐにボールに入れるのが望ましい。 次に、できるだけ素早く他の家族ゆっくりを原形をとどめない程度に破壊する。 一見可哀そうに見えるが、これもゆっくりのためなんだ。 ボールに閉じ込められたゆっくりが他のゆっくりを見てしまったら、自分だけ何かおかしいことに気付いてしまうだろ? そうなったらアイデンティティが崩壊して心が壊れてしまうかもしれない。そうならないために他の家族ゆっくりを破壊するんだ。 勿論、潰したゆっくりは子ゆっくりに食べさせよう。 こうして子供を無事出産して役目を全うした親ゆっくりは子供の血肉、じゃなくて餡皮となって子ゆっくりとともに生きていくんだ。なんて美しい!! ああ、そうそう・・・最後になったけど、このボールにはどんな効能があるのか説明させてもらうぞ。 こいつには10以上ものゆっくりに幸せを提供するための素敵な効能がついているんだ。 1つ目。子ゆっくりを大きくさせない機能がある。 人間でもそうだけどさ、大人になるってことは社会の荒波にもまれて汚れていくことだと思うんだよ。 でもさ、こんなに可愛いゆっくり達がそんな風に汚れてしまうなんて可哀そうだろ? で、ゆっくりが大人になるためには身体的な成長と、中身つまり餡子の増量が不可欠なはず。 ということは、身体の成長を抑えれば容積も抑えられ、おのずと大人になることが出来なくなるはずじゃないか? このゆっくりボールの当初の目的はこの成長阻害・・・いや、ずっと子供のままゆっくりさせてあげることにあると言っても過言ではない。 勿論、効果は抜群だった。こいつにいれたゆっくりは皆、純真無垢な子供のままだったよ。 2つ目。野生種はしない(と思われる)排泄を促す。 こいつは俺もびっくりしたことなんだが、野生種は食ったものがどうなるのか全く解明されていない。しかし、排泄をしないならどう考えても生涯に食する量と増加する体積が一致しない。 こんな常識的にありえない状態が健康なわけがないと思わないか?でも、ボールに入れたゆっくりは空気穴を使って餡子に似たウンコを排泄する。 つまり、野生種の永遠の悩みである死ぬまで続く便秘か解消されるってわけだ。 え、成長が阻害されたせいで膨張した中身が飛び出しただけじゃないかって? はははははは、そんなわけないじゃないか。ゆっくり愛好家の俺が言うんだから間違いない! 3つ目。ゆっくりが狭い場所に挟まらないようにする。 これは何気に重要なんだ。狭い場所に挟まって皮が剥けて中身があふれ出したとか、狭い場所に落下して皮がずる剥けになったり、挟まって動けなくなったところを外敵に襲われたってのは幼いゆっくりの死亡原因としてはかなりの上位に食い込む。 でも、こいつを装着していればプラスチックが皮を守ってくれるし、そもそも挟まって動けなくなるような場所に嵌り込むようなことがなくなる。 まあ、最初から挟まってるようなものだから当然といえば当然かもしれないけどな。 4つ目。むやみに飛び回らなくなる。 飼っているゆっくりが飛び跳ねて大事なものを壊してしまったなんて話はよく聞くが、こいつの中に入っていれば飛び跳ねるなんてことはまず出来ない。 せいぜい転がって移動することくらいだが、完全に押さえつけられている状態だから自分の意思で自由に転がすことは出来ない。 つまり、自分の意思では飛び跳ねるどころか、転がり回ることすら満足に出来ないってわけさ。 これならゆっくりが勝手に家のものを壊すなんてことはなくなるだろ? 5つ目。他人のものを勝手に食べなくなる。 というか、食べようがなくなるだけなんだけどな。まず動けないわけだし。 ストローサイズの空気穴から与えられた食べ物しか食べられないんだから、他人の畑の作物を荒らすなんてことは当然なくなるよな? すると、畑を荒らされてぶち切れた農家のおっさんに潰されるなんて悲劇は起きなくなる。 6つ目。大きな声で「ゆっくりしていってね!」などと叫ばなくなる。 「ゆっくりしていってね!」というのはゆっくり達が頻繁に口にする言葉なんだが、こいつが朝一番の鶏の鳴き声にも負けないくらいやかましいんだ。 でも、このボールに入った状態であれば全身を完全に押さえつけられているわけだから、当然口だって満足に動かせない。 その上、プラスチックケースで声が大分遮断されるから、外部に漏れるのは「うっうりいえいっええ」とか言うわけの分からん呻き声だけ。 これなら近所迷惑になることもないし、下手に泣き声を上げて仲間を呼び寄せてしまうような事態も回避できる。 それにゆっくり魔理沙の場合、生意気なことを言わなくなるから可愛さ3割増しと良いこと尽くめだ。 7つ目。他人に勝手に殺されなくなる。 野生種がプラスチックケースに入っていることなんてありえないんだから当然だよな? 8つ目。坂から転げ落ちても大丈夫。 ゆっくりってのは鈍くさいから、何かにつけて坂から転げ落ちるんだよ。 現に、このボールに入れたゆっくりも散歩させてやっている時に幾度となく転げ落ちたもんだ。 跳ねるなり、踏ん張るなりすればいいのに。 そんな鈍くさいこいつらだが、プラスチックボールがあれば転がったときに皮が剥けることもないし、硬いものにぶつかったときに中身をぶちまけることもなくなる。 9つ目。捕食者に襲われても安心。 さっきも言ったようにこいつらはとにかく鈍くさいからさ、外敵に襲われても逃げるってことをしないんだよ。 実際、俺がこのボールに入れて飼っていたゆっくりは外敵に襲われそうになっても全く逃げようとしなかった。 跳ねるなり、転がるなり、狭い穴に逃げ込むなりすりゃいいのにな。 でも、このボールの中にいればゆっくりゃやゆフランに襲われた程度なら命を落とさずに済む。 あ、ゆっくりゃとゆフランってのはゆっくりを捕食するゆっくりのことだ。 10つ目。遊び道具として最適。 この中にいる限りゆっくり達は普段以上にゆっくりしているから、少し悪戯をしても文句一つ言わない。 それどころか、大抵のゆっくりは歓喜の涙を流しながら「おえあうっうりえいあいお~」とか「あええ~」とかものすごく楽しそうな声で鳴きまくるくらいだ。 それに、このプラスチックボールはなかなか頑丈でな、大人の力で蹴っても至近距離で壁にぶつかりでもしない限りなかなか壊れない。 おかげで、普段ゆっくりとは出来ないようなサッカーみたいな激しい遊びだって問題なく出来るんだ。凄いだろ? 11つ目。ゆっくりアリスにレイプされない。あるいはしない。 これもゆっくりの命を守る上では必要不可欠な要素だ。何せゆっくりアリスによるレイプはゆっくり魔理沙の死因のTOP3に入るからな。 だけど、このボールの中にいれば前戯がちゃんと出来ないし、種付けだって極めて困難だ。だからアリスに犯し殺されることがなくなるんだよ。 でも、このボールの凄いところはそれだけじゃない。ゆっくりアリスもゆっくり魔理沙とずっと一緒にいられるから大喜びするんだ。 最初に実験したゆっくりアリスはずっと一緒にいられるのがよほど嬉しかったのか、3日間くらいボールに体をこすりつけ続けていたな。 それから「何で子供が生まsqんくせgkうぇdgyrdhんcmbwmrdんcs」と狂喜しながら逝ったよ。 嬉しすぎて死ぬゆっくりなんてあの時初めて見たよ・・・。あの時ほどゆっくりボールを作ってよかったと思った日はないね。 12つ目。機能拡張キットや工夫次第で遊びが更に広がる。 簡単なところだと紐をつけてハンマー投げができるな。プラスチックケースの破損が心配ならガムテープをしっかり巻きつけておけば良い。 他にはボールをムチでたたいて回転させ続ける朝鮮式の独楽として使用することも出来る。 ・・・いや、無限大の応用こそゆっくりボールの肝だから、あまりあれこれ話しすぎると面白みがなくなってしまうな。 これ以外の応用は自分で探してみてくれると嬉しい。 ゆっくり好きの、ゆっくり好きによる、ゆっくり好きのための至高のアイテムゆっくりボールは外界価格で980円。みんな、気が向いたら買ってくれ!! ‐‐‐‐‐‐‐‐あとがき‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ホスト規制が悲しくて、書けもしないSS?を書いてみた。 が、あまりに誤字多かったのでちょいと訂正して再うp。 今後はきちんと推敲しようと思いました。 ゆっくりが可愛くて仕方がない俺にはゆっくり虐待なんて全く理解できないよ・・・! 俺の想像力じゃ、よりベターにゆっくりボールを用いたゆっくりの可愛がり方が思いつかないんだ。 何か面白い遊びはないものか? このSSに感想を付ける